「後ろですっきり結んだ髪」のイメージが定着していた料理家の渡辺有子さん、髪を切りました。
でも、顔や髪質が変わるのは当然のこと。昔の自分に縛られず、今の自分の再確認を。思い込みを捨て、ちょっとだけ勇気を出してアップデートすることも、きっと大事。
撮影・久富健太郎 ヘア・植田高史(エス ヘアサロン) メイク・椙田 蒼(エス ヘアサロン) スタイリング・仮屋薗寛子 文・入江信子
新鮮なダウンスタイルに。
“後ろですっきり結んだ髪〟のイメージが定着している渡辺有子さん。
「料理の仕事をしているからというのもありますが、下ろしたスタイルにしようと美容院に行っても、なんだかしっくりこず、すぐまた結んでしまって。ダウンスタイル、たとえばストレートのボブにしてみたいのですが」
希望を聞いた植田高史さんは、
「髪質にくせがありますよね。このくせが素敵なので、無理にまっすぐにするより生かしたほうがいい」。
そして、「これくらい切っても大丈夫?」と鏡の前で耳の下のラインを示すと、渡辺さんは「はい、お任せします。気分を変えたいし、髪は伸びますし」と潔い。
まずはウェットな状態で、大胆に10センチ以上カット。
「衿足がこんなに短くなるのは20年ぶりです。新鮮!」と渡辺さん。続いて、首まわりの髪は短くショート風に、上のほうの髪は下の髪にかぶさるよう、長めに切っていく。こうするとウェーブがきれいに出るうえ、シルエットが立体的になるのだそう。
丁寧なカットで動きを。
また、髪を下ろすと、顔の丸さが強調されるという渡辺さんの悩みに対し、植田さんは「こういう髪質は、耳のあたりが重くなりがち。その部分の毛量を減らせば、バランスがよくなります」と、ドライした髪をすきバサミで丹念にカット。やがて、ふわりとウェーブが躍る、柔らかなスタイルが完成した。
「スタイリングはタオルドライ後に手に薄くバームを取ってなじませ、乾かすだけ。もとの癖を生かしているから、楽に形を作れますよ。サイドを耳にかけてもいいし、少し伸びたら、上のほうの髪を取って結んでも」(植田さん)
「髪が軽くなって、春が来た! という感じ。明るい色の服を選びたくなりますね。ひとつ結びでグレーなど渋めの色の服を着ると、地味に見えることもあったのですが、この髪ならうまく着こなせそうです」(渡辺さん)
横から見ると、緩やかなカーブを描き、裾が広がった優しいシルエット。
『クロワッサン』1068号より