川島典子さんの着物好きは、祖母と母ゆずり。祖母の家には年2回、京都の呉服屋さんが出張してきていたそう。
「準備も始末もいまは亡き母任せでしたが、あるとき叱責されました。それから友だちと着付けを習い、ようやくひとりで着られるように」。
買った着物は桐箪笥にしまいきれないほどになった。
「年齢的にハイヒールがきつくなり、草履と着物がおしゃれ着。週2回、歌舞伎座に出かけます。もちろん、着物で」
最近のお気に入りの着物は、上田紬の染織作家・小山憲市さんの作品だ。
「多色使いの糸で紡いだ着物地は肌映りもよく、わくわくした気持ちにしてくれる。そこに藤岡さんの手組みの帯締めを。柔らかく締まるのにぴりっと結べるのには、ほれぼれします」
いわゆる伝統工芸ど真ん中より、木でできた藍染めの豆皿や、アフリカンプリントの傘などに惹かれる。
「手仕事だからすべていいとは思わない。作り手のアイデアや思いが伝わるもの、現代の生活にしっくりくるデザインで使い心地のいいものに出合いたい」