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三つのことを同時に考えることはできないでしょ――ノエラ・ポントワ(パリオペラ座バレエ団エトワール)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、世界的バレリーナの本音にふれてみましょう。

文・澁川祐子

1978年7月10日号「クロワッサン・インタビュー」より
1978年7月10日号「クロワッサン・インタビュー」より

三つのことを同時に考えることはできないでしょ――ノエラ・ポントワ(パリオペラ座バレエ団エトワール)

ノエラ・ポントワさんは9歳でパリオペラ座のバレエ学校に入学し、21歳のときに「ジゼル」でデビュー。エトワール(最高舞踏手)として活躍し、1983年に引退しています。

1943年生まれで、インタビューを受けた当時は34歳。パリオペラ座の花形であると同時に、振付家として活躍する日本人の夫をもつ妻であり、また7歳の娘を育てる母でもありました。そこでインタビュアーが<妻と母の役目を果たしながら、スターの座であるエトワールとして踊り続ける>ことの大変さについて尋ね、返ってきた答えが今回の名言です。

三つのことを同時には考えられない。そのシンプルな潔い答えに、割り切りのよさが感じられます。続けて、次のようにも語っています。

<バレエを踊っている時には、家庭のことは考えないし、家にいる時は、バレエのことは考えないことにしているんです>

場によってやることに集中する。意識して切り替え上手になることが、仕事と家庭を両立させるコツだということでしょう。

インタビューでは、娘の将来についても言及。できればバレリーナになってほしいと、胸の内を明かしています。そしてその願いどおり、娘のミテキ・クドーさんは母と同じバレリーナになりました。しかし当時は、のちに母娘で来日公演も果たすことになろうとは、想像していなかったことでしょう。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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