くらし

極上の舞踊を味わう空間、 スペイン国立バレエ団来日!

  • 文・東 敬子
超高速のカスタネット演奏と共に繰り出されるダンスは見もの! (C)Yuki Omori

情熱的に、エレガントに、鍛え抜かれた身体から生まれる超絶テクニック。カスタネットを叩きながら、ジャンプをしながら、微塵のズレもない正確なリズムで繰り出されるステップ……。あまりの凄さに鳥肌が立つ。ここで繰り広げられるスペインの伝統の舞に、古さは全く感じない。あるのは新鮮な感動だけだ。

今年10月に来日公演を控えたスペイン国立バレエ団は創立40周年を迎える。みなさん、アントニオ・ガデスを覚えていらっしゃるだろうか。1983年にスペインで制作され世界的ヒットを飛ばした映画『カルメン』で主役を務め、ヒロインとの激しいフラメンコレッスンで老若男女を魅了し、大フラメンコブームを巻き起こした彼が、この舞踊団の初代監督だった。その後、紆余曲折の40年を経て、伝統と革新の調和を追求して止まなかったガデスの精神を受け継いだ若き鬼才、アントニオ・ナハーロ監督と共に、今やスペイン舞踊の最高峰の名を欲しいままにする。フラメンコに代表されるスペイン舞踊には、他にスペイン各地の民族舞踊、クラシックバレエの影響を受けた「ボレーラ」、ファリャやグラナドスなどのスペイン音楽を踊る「クラシコ」などがあるが、40周年記念公演でも、そのすべてを網羅したプログラムで挑む。

スペインを代表するデザイナー、テレサ・エルビグの衣装にも注目。(C)Yuki Omori

今回はAプログラムに、巨匠グラン・アントニオ振付けの名作『サラサーテのサパテアード』と『エリターニャ』、そしてフラメンコでは情熱の『マントンのソレア』が初お目見え。また、前回の来日でセンセーションを巻き起こした『アレント』も再演。ここでは、レティシア王妃御用達のテレサ・エルビグがデザインした衣装も見どころ。

再演される演目ではあの感動を再び。新作では舞踊団の進化を目の当たりに。伝統のフラメンコもナハーロ監督の手によって斬新に。(C)Stanislav Belyaevsky

Bプログラムでは、カスタネットが見事な『ビバ・ナバーラ』、フラメンコの『カンティーニャス・デ・コルドバ』、おなじみラヴェルの『ボレロ』。そして、極上のエンターテイメント『セビリア組曲』は、今回ニューバージョンということで、期待がますます募る。

この空間でしか出会うことのできない特別なスペイン。初めて見る心を揺さぶられる風景が、絶対に記憶に残しておきたいそれが、確かに、そこにはある。

《 スペイン国立バレエ団 》
創立40周年記念公演
東京文化会館大ホールにて、Aプログラムは10月19~22日で5公演。Bプログラムは10月26~28日で4公演。S席1万3000円、A席1万1000円ほか。問合せ:チケットスペース03-3234
-9999 
https://www.spain-ballet.com

東 敬子(ひがし・けいこ)●1998年からスペイン在住。日本・スペインでフラメンコジャーナリストとして活動。専門誌『パセオ・フラメンコ』では長年連載を受け持つ。

『クロワッサン』982号より

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