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『料理と私』著者、渡辺有子さんインタビュー。「やらない後悔より、やって後悔のほうがいい。」

わたなべ・ゆうこ●1970年、東京生まれ。料理家。書籍、雑誌、広告等を中心に活躍。2015年料理教室『FOOD FOR THOUGHT』、’17年自らがディレクションする同名のショップをオープン。著書に『365日。』『サンドイッチの時間』など多数。
わたなべ・ゆうこ●1970年、東京生まれ。料理家。書籍、雑誌、広告等を中心に活躍。2015年料理教室『FOOD FOR THOUGHT』、’17年自らがディレクションする同名のショップをオープン。著書に『365日。』『サンドイッチの時間』など多数。

撮影・中島慶子

シンプルかつ旬の野菜の味が引き立つ料理で人気の料理家・渡辺有子さん。幼少時代からの料理への興味、料理スタイリングへの目覚め、料理家のアシスタントとしてのほろ苦いスタートから現在まで。今まで語られなかった「渡辺有子の作り方」とも言うべきエッセイだ。完成までに足掛け4年!

「約3年ほぼ放置していたからなんですけど(笑)、でも自分のすべてを書くのはたいへんでした」

料理家としての独立当初、「仕事を断らない」というポリシーのもと、バラエティ番組で0泊でタイまで行ったり、今の渡辺さんからは想像もつかない仕事もこなす。

「駆け出しの頃はレシピのストックもなく、できませんとは言えなかった。ちょっとハッタリ的に、やってみますと言って、あたふたして家で早速実験してみる。きっとおいしい、色合いもきれいそうとクルミを入れてご飯を炊いたら全部まっ茶色! 合わせるカレーより茶色かったのは、忘れられない失敗です。びっくりして無言で炊飯器の蓋を閉じました(笑)」

経験を積んだ後、今度は“自分らしさ”を追求し、素材の味の“仲間”を元に組み立て、何が大切かを自問自答。行き着いた先は、調味料を極力排したシンプルな、旬の味を生かした家庭料理だった。今では砂糖もあまり使用しない。

「砂糖を使うと、醤油にしろ酢にしろ、何か味を重ねないといけなくなって素材の味が生きないので。でもここ数年はシンプルを極めすぎている気もするから、そこから抜け出したいとは思ってます」

この常に新しい局面へと挑戦し続ける姿勢も渡辺さんらしさ。「やるかやらないかで迷ったらまずはやってみる」が、スタンスだ。

「やらない後悔より、やって後悔は何か残るかもしれませんよね。やってよかったって結果はもちろんいいことですけど、やって後悔からも、学びはあると思うので」

常に「新しいことを得たい」。その言葉どおり、料理教室、ゲストを招いた食事会“料理会”、そして念願のショップオープンと、次々と活躍の場が広がる。合間に苦手意識克服のため製菓学校でお菓子作りも学んだ。何か終わるたび、「次はどうするの?」という夫の言葉にも後押しをされる。

「けっこうつらいんですよ、それも(笑)。でも私も飽きっぽい一面もあるので、しぶしぶ……」

次に叶えたい野望は?

「いずれは飲食のお店もやってみたい。まだ先にはなると思うんですけど、これだけ数がある中で、行きたくなるお店ってなんだろう、ってイメージを固めています」

晶文社 1,500円

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『クロワッサン』979号より

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