「よく怖くなかったですか?と聞かれるんですけど、知らない人と会って喋ることはわりと好きなんです。大勢集まって盛り上がるより2人で話すほうが、相手の人の気持ちを引っ張り出せるような気がするので。本当にその人に合った本をすすめられるのか?と、そっちのほうが怖かったです」
管理のきいたサイトでの出会いは概ね良好で、“修業”を重ねていったが、時には性的欲求が絡む不快な出来事もあった。それもまた、ある意味では“修業”。自分の中での方位磁石のような存在、当時の京都『ガケ書房』店主・山下賢二さんに会いに行くくだりでその修業はひとまず一段落を遂げる。
「独身と結婚しているのとどちらがいいのかとか、子どもを産まないと言い切ってしまっていいのかとか、ずっと答えが出なかったんですけど、山下さんにお会いして“そもそも人生で重要なことに結婚とか子どもは関係なかったんだ”という答えを自分の中に発見しました。もうこの服捨ててよかったんだね、と楽になる感じ」
残ったのは、本が好きという気持ち。その本の魅力を誰かに伝えたいという思い。