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【書評家・豊崎由美さんの読み方】一冊の本、いったい何回読むんですか?

プロの書評家であり、無類の本好きである豊﨑由美さんの読書法は? 書評に対する考え方も聞いた。

撮影・小出和弘 文・後藤真子

好きな本を何回も読み返したっていい。時間を置いてから読み返すと、その本の新たな魅力を発見することもある。豊﨑さん自身は職業柄、新刊を次々と追いかけて読まなければならないが、書評を書く本については三読(同じ本を3回読む)まですると話す。

一読目は、1行ずつ丹念に読み進め、気になった箇所に傍線やかぎかっこ、メモなどを書き入れていく。チェックするのは、「まず、登場人物の名前や年齢、何年などの数字関係といった、書評を書く時に間違えてはいけないデータ部分です。それから、その小説の企みや仕掛けになっているんじゃないかと疑ったところ。ストーリーの展開が変わるポイントや、書評で引用したいなと思ったところなどです」。

一読目は1行ずつ読み進め、 赤ペンで、気になる箇所に 傍線等の書き込みをする。
一読目は1行ずつ読み進め、 赤ペンで、気になる箇所に 傍線等の書き込みをする。

先がわからずに読んでいくので、制限は設けず、とにかく書き込む。二読目で、付箋を使ってそれを絞る。

「すでに一度最後まで読んで知っている状態ですから、本当に大事な書き込み箇所に付箋を貼っていきます。それでもまだ多いので、三読目は付箋の箇所を読んでいき、実際に書評に使いたい箇所だけに紙片を挟んでいきます」

ここまで作業をした段階で、どんなふうに書評を書くのか、頭の中で出来上がっている。たいていの本はこれで終わるが、構造や人物の関係が複雑な作品は、別紙に手書きでまとめ、資料として本に挟んでおく。これが、書評家としての豊﨑さんの読書法だ。

赤線箇所から二読目は付箋、 三読目は紙を挟んで、 重要な箇所を絞っていく。
赤線箇所から二読目は付箋、 三読目は紙を挟んで、 重要な箇所を絞っていく。
内容が複雑な本の場合は、さらに別紙にメモを取り、 資料として挟んでおく。
内容が複雑な本の場合は、さらに別紙にメモを取り、 資料として挟んでおく。
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