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『わたしたちの図書館旅団』ジャネット・スケスリン・チャールズ 著 髙山祥子 訳──戦場となった村で目指すは図書館再建

文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。

文・瀧井朝世

『わたしたちの図書館旅団』 ジャネット・スケスリン・チャールズ 著 髙山祥子 訳 東京創元社 2,530円
『わたしたちの図書館旅団』 ジャネット・スケスリン・チャールズ 著 髙山祥子 訳 東京創元社 2,530円

ふたつの時代が交錯する物語。

1918年。第一次世界大戦中、ニューヨーク公共図書館の司書、ジェシー・カーソンは戦闘が続くフランス北部の村にやってくる。彼女は〈荒廃したフランスのためのアメリカ委員会〉、略称CARDのメンバーだ。彼女の仕事は子どもたちに本を読み聞かせ、住民たちに本を届け、破壊された図書館を再建すること。しかし司書たった一人で何ができるのか。

1987年。ニューヨーク公共図書館の記憶保管課のウェンディーは、1918年に発行された有志の女性団体、CARDの会報に目を留め、ジェシーという司書の存在に興味を引かれ調べ始める。やがてウェンディーは、ジェシーたちについての小説を書こうと決意する。

読むと、司書という存在が一人いれば読書文化は広めることができるのだと圧倒される。が、さらに圧倒されたのは、本書が実話に基づいている、という点だ。

本を読む喜びを改めてかみしめる内容であると同時に、窮地に陥っている人に手を差し伸べることについても考えさせられた。こういう団体、こういう人が実際にいたのか、と。彼女たちの勇気と信念に、活を入れられた思い。

  • 瀧井朝世 さん (たきい・あさよ)

    ライター

    著書に『ほんのよもやま話〜作家対談集〜』『偏愛読書トライアングル』など。

『クロワッサン』1162号より

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