暮らしに役立つ、知恵がある。

 

広告

書評家、ライター・石井千湖さんの、今年心に刺さった本セレクション──時代に左右されない強度のある言葉が響く

優れた物語に触れる時間は、せわしない日常を忘れさせてくれるもの。書評家、ライターの石井千湖さんは、「時代に左右されない強度のある言葉」「遠くまで届く想像力」という視点で選定。

文・小沢緑子

石井千湖(いしい・ちこ)さん 書評家、ライター。多くの新聞、雑誌、Webなどで書評とインタビューを中心に活動。近著に『積ん読の本』
石井千湖(いしい・ちこ)さん 書評家、ライター。多くの新聞、雑誌、Webなどで書評とインタビューを中心に活動。近著に『積ん読の本』

「世界も日本も大きく変わり、未来に不安もおぼえる今。でも、現実逃避するだけでは救われない。だからこそ、時代に左右されない強度のある言葉、遠くまで届く想像力のある作品を選びました」と、石井千湖さん。『帰れない探偵』は、「探偵のもとに舞い込む依頼がどれも風変わり。7つの場所のエピソードの冒頭に共通して出てくる言葉〈今から十年くらいあとの話〉は、振り返るとまさに今年の日本の状況。自分もすでに帰れなくなっているのではないかという気がして恐ろしい」。『世界99』は、「ピョコルンという架空の生き物の存在感が際立っていて、驚愕と戦慄の連続。上下巻を一気読みしました」。『4月の本』は、「セレクトと構成が秀逸で、装幀も美しい。本棚にあるだけでうれしいシリーズです」。

書評家、ライター・石井千湖さんの、今年心に刺さった本セレクション──時代に左右されない強度のある言葉が響く

『帰れない探偵』
柴崎友香 著

世界探偵委員会連盟に所属する探偵が、突然事務所兼自宅に帰れなくなり世界を駆け巡る。「柴崎友香さんの初めての探偵小説。作中で流れる音楽も印象的」。講談社 2,035円
書評家、ライター・石井千湖さんの、今年心に刺さった本セレクション──時代に左右されない強度のある言葉が響く

『世界99』上・下
村田沙耶香 著

最強に可愛いピョコルンを軸にしたディストピア小説。「どうしたらこんなことを思いつくのか。異常なことが当たり前になる村田沙耶香ワールドの集大成」。集英社 各2,420円
書評家、ライター・石井千湖さんの、今年心に刺さった本セレクション──時代に左右されない強度のある言葉が響く

『4月の本』
西崎 憲 編

「国内外を問わず近現代の名作を幅広く収録したアンソロジー。4月から始まって、今は12月まで刊行。自分の誕生月をじっくり読んでもいいと思います」。国書刊行会 3,080円

『クロワッサン』1155号より

広告

  1. HOME
  2. くらし
  3. 書評家、ライター・石井千湖さんの、今年心に刺さった本セレクション──時代に左右されない強度のある言葉が響く

人気ランキング

  • 最 新
  • 週 間
  • 月 間

注目の記事

編集部のイチオシ!

オススメの連載