菊の洋風フラワーアレンジ──松田美智子の「くらしの歳時記」
古くから伝わる習慣やしつらい、暮らしの知恵。松田美智子さんが取り入れている“歳時記”を紹介します。今回は「菊」。
撮影・鍋島徳恭
菊の花で洋風のアレンジを! 花持ちの良さが家庭向きです
菊の花は、古くから日本で親しまれてきた花なので、床の間、昭和の雰囲気の花器、仏事などのイメージが強く、敬遠しがちでした。
数年前、あるフラワーアーティストの方の作品に出会い、大輪のダリアの素晴らしいアレンジに感激。思わず、顔を近づけたら、その香りにびっくり! ダリアではなく菊の花でした。花の色はミルクティーのようなベージュピンク。色が白や黄色でないだけで、こんなに印象が違うものかと感心してしまいました。固定観念、怖し! です。大きなダリアはお値段もはる上に、すぐ散ってしまいます。それが、大輪の菊ならいくらか安価な上に、日当たり抜群の我が家のテーブルでも1週間は持つのです。ただし、毎日の水替えは必須です。最近は洋風の葉物と合わせたアレンジが秋の恒例になりました。菊の花は、葉を落とすと、一気に洋風の花になるようです。葉を落とすことで、水が花まで届きやすくなり一石二鳥です。
小菊も枝から外して長さを揃えます
一枝にいくつもの細い茎、そこに花や蕾のついている小菊ですが、まず細い茎を全て切って外します。全ての茎を同じ長さに揃えるのは難しいので、長め、中ぐらい、短めの3つに分けます。それぞれ半分以上の葉っぱを外し、茎の長さを切り揃えます。水中で茎を鋭角に切って、水揚げし、シンプルな花器にふわっと活けると甘くなりすぎず素敵。コツはめんどくさがらずに3つに分けた茎の長さを揃えること。特に短いものは、小さいガラス器などに別に飾ります。花柱に見立てて花の高さ(上面)を揃えるとおしゃれに仕上がり、写真のように花の色と同色の花器に活けるだけでも映えます。
『クロワッサン』1151号より
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