“ストレス疲れ”を回復させ、元気を取り戻す作り置きとスープ
撮影・小川朋央 イラストレーション・くぼあやこ 構成&文・松本あかね
【ストレス疲れ】ストレスが「肝」の気のめぐりを阻害
イライラやドキドキ(不安感)はストレスによって五臓の「肝」の気が滞り、熱を帯びることが原因。熱を冷まし水分を補うには梨やセロリ、緑茶などがよく、気のめぐりを促す野菜や柑橘も積極的に。さつまいもなど甘みを持つ食材は心身の痛みを和らげるとされる。
体の熱を冷ます梨とめぐりを促す青果、心を安定させるカルシウムも一緒に
現代人の多くは慢性的な野菜不足。ミネラルや鉄分の不足がストレス疲れを招く要因にも。熱を冷まし、体を潤す梨を中心にミネラル豊富なパプリカ、気のめぐりを促すセロリや玉ねぎをピクルスに。レーズンで鉄分、いりこで心を安定させるカルシウムもプラスして。梨とミネラルや鉄分を含むプルーンのコンポートは、穏やかな甘さが心をなだめてくれる。
梨と野菜のめぐりピクルス
【材料(作りやすい分量)】
梨…大1個
パプリカ…1個
玉ねぎ…1/2個
セロリ…1本
レーズン…50g
いりこ…10本(頭と腹を除く)
レモンの輪切り…1/2個分
米酢…1.5~2カップ
白ワイン…1カップ
塩…小さじ1強
【作り方】
1. 梨は皮をむいて芯を取り、パプリカ、玉ねぎ、セロリとともに1~2cm大の乱切りにする。レーズンはぬるま湯で洗い、水気を拭き取る。
2. 大きめのボウルに野菜類を入れて塩を振り、混ぜ合わせる。レーズン、いりこ、梨、レモンを加える。
3. 米酢を回しかけ、白ワインを加えて混ぜ合わせる。
4. 清潔な保存容器に入れ、常温で1~2時間おく。冷蔵で2〜3週間保存可能。
梨とプルーンの赤ワインコンポート
【材料(作りやすい分量)】
梨…2個
プルーン…180g
赤ワイン…180ml
生姜の薄切り…10g
氷砂糖…100g
【作り方】
1. 梨は皮をむいて縦に8〜12等分し、芯を取り除く。プルーンはぬるま湯で洗って水気を拭く。
2. 底の広い鍋に梨を放射状に並べてプルーン、生姜を散らし、赤ワインと水1.5~2カップを注ぎ、氷砂糖を全体に散らす。
3. 紙蓋をして火にかける。沸騰したら火を弱めて20分ほど、梨が柔らかくなるまで煮る。常温に冷ましたら、清潔な保存容器に入れ、冷蔵で3日間保存可能。
「肉体的な疲れ、精神的な疲れ。中医学(中国の伝統的な医学)の観点からいうと、どちらの場合も『気・血』の不足とめぐり不足が最大の原因です」と国際中医師、国際中医薬膳管理師、管理栄養士の植木もも子さん。
「気」は一種のエネルギーで生命力を表し、「血」は血液とそれが運ぶ栄養素を指す。中医学では「気」「血」に「津」(体液)を加えた3要素が絶えず体をめぐり、心身を維持するとされる。消耗した気・血・津は食べ物によって補われ、疲労の場合は特に気・血を養うものが必要だ。
「薬膳では季節や体調に応じて食材を選びます。生命力のあるものを食べて気を養い、血を作るものを食べてきれいな血液を体じゅうにめぐらせる。そうすれば細胞から活性化し元気が蘇ります」(植木さん)
『クロワッサン』1149号より
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