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【粋な東京パワースポット】源覚寺(小石川)──庶民の願いを叶えてくれる優しい閻魔さま

いざという時にお参りする神社やお寺は江戸の人々にはどんな存在だった? 人気の社寺を実際に訪れ透かし見えたのは、嗚呼、花のお江戸の景色かな。──江戸文化研究家の滝口正哉さんとコラムニスト・辛酸なめ子さんが江戸の代表的な社寺へ。今回は、小石川の源覚寺を訪ねた。

撮影・青木和義 イラストレーション・辛酸なめ子 構成&文・堀越和幸

江戸時代の4つの大火事の難を逃れて今も現存する閻魔坐像
江戸時代の4つの大火事の難を逃れて今も現存する閻魔坐像

源覚寺(小石川)
文京区小石川2-23-14  TEL:03-3811-4482 https://www.genkakuji.or.jp/

庶民の願いを叶えてくれる優しい閻魔さま

小石川の商店街の一角にある源覚寺(げんかくじ)は通称“こんにゃく閻魔(えんま)”と呼ばれている。滝口さんの解説によれば、江戸は中期の宝暦年代の頃、眼病を患ったとある地元のお婆さんが、病気の平癒を祈って願掛けを行った。すると21日目に閻魔さまが現れ、願いを叶えてくれた。けれども……お婆さんの目は治ったが、今度は閻魔さまの右目は黄色く濁ってしまった。以来、お婆さんは感謝の印として大好物のこんにゃく断ちを続けた。

「という、こんにゃくを奉納する風習が今でも継承されています」(滝口さん)

「実はこんにゃくが苦手で、私ならババロア断ちをしたと思います」(辛酸さん)

庶民に頼られた閻魔さまならきっとそれでも身代わりになってくれるはず。

左・歯痛によく効くともいわれる塩地蔵/右・本堂前にはこんなに奉納品のこんにゃくが
左・歯痛によく効くともいわれる塩地蔵/右・本堂前にはこんなに奉納品のこんにゃくが

源覚寺は寛永元年(1624年)の創建。寺を建てた住職がその後、増上寺の住職になったため、その縁でこちらは増上寺の末寺となった。町中の小さな佇まいながらも格式が高い。

境内にある塩地蔵は、こちらも南関東で見られる願掛けの風習。まるで大雪の翌朝のように地蔵が塩に埋もれている。

「塩を納めながら、地蔵の塩の一部をいただき、体調の悪いところに擦りつけるといいとされています」(滝口さん)

お参りついでにこんなお土産

【粋な東京パワースポット】源覚寺(小石川)──庶民の願いを叶えてくれる優しい閻魔さま

『石井いり豆店』のカレー豆とわさび豆
明治20年創業。5代目店主が家族で営む豆店。カレー豆、わさび豆 各135g 600円。

文京区西片1-2-7 TEL:03-3811-2457 (営)10時〜18時 日曜・祝日休
  • 辛酸なめ子

    辛酸なめ子 さん (しんさん・なめこ)

    コラムニスト、漫画家

    独自の感性であらゆるジャンルの事象をフィールドワーク。近刊には『江戸時代のオタクファイル』(淡交社)がある。

  • 滝口正哉

    滝口正哉 さん (たきぐち・まさや)

    江戸文化研究家

    江戸文化に関わる多くの著作、論文を著し、セミナーなどでも活躍中。著書に『江戸の祭礼と寺社文化』(同成社)などが。

『クロワッサン』1145号より

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