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【粋な東京パワースポット 】日枝神社(永田町)──江戸城と同じ敷地にあった各式高い神社

いざという時にお参りする神社やお寺は江戸の人々にはどんな存在だった? 人気の社寺を実際に訪れ透かし見えたのは、嗚呼、花のお江戸の景色かな。──江戸文化研究家の滝口正哉さんとコラムニスト・辛酸なめ子さんが江戸の代表的な社寺へ。今回は、永田町の日枝神社を訪ねた。

撮影・青木和義 イラストレーション・辛酸なめ子 構成&文・堀越和幸

本殿をバックに納まる辛酸なめ子さんと滝口正哉さん
本殿をバックに納まる辛酸なめ子さんと滝口正哉さん

日枝神社(永田町)
千代田区永田町2-10-5  TEL:03-3581-2471 https://www.hiejinja.net/

江戸城と同じ敷地にあった各式高い神社

皇居から徒歩圏内にある、元は江戸城を築城した太田道灌(おおたどうかん)によって建てられたのがこちらの日枝(ひえ)神社だ。

「参道の長い階段をエスカレーターで上れる近代的な神社ですよね」(辛酸さん)

「はい、辛酸さんが上がってきた赤坂側の階段の下は江戸時代はお堀でした。というのはつまり、日枝神社はもともと江戸城の内に建てられた神社だったんです。太田道灌は“江戸城の守り神”としてこの神社を位置付けました」(滝口さん)

左・子どもを抱いた母親の神猿。子授けや安産祈願で訪れる参拝客は今も多い/右・同じ境内にある末社、山王稲荷神社の赤い鳥居
左・子どもを抱いた母親の神猿。子授けや安産祈願で訪れる参拝客は今も多い/右・同じ境内にある末社、山王稲荷神社の赤い鳥居

お堀があって崖があり、そのきわにそそり立つ立派な神殿。名前のみに名残を留める下界の「外堀通り」は今では社用の車やタクシーが行き交うばかりだが、高台から見晴らすその立地は防衛拠点の意味合いが濃く、さらには風水の観点から言えば江戸城の“裏鬼門”にもあたった。

「となるとパワースポット的にはどんなご利益があるんですか?」(辛酸さん)

「幕府には国家鎮護、庶民にとっては家内安全や商売繁盛などです」(滝口さん)

日枝神社は江戸時代は山王権現(さんのうごんげん)と呼ばれ親しまれた。“山王”とは、山の神々を祀る山王信仰のことで、猿を神の使いとし魔除けなどの象徴とする考え方だ。境内には狛犬がなく、代わりに夫婦の神猿像が置かれているのはそのためだ。

お参りついでにこんなお土産

【粋な東京パワースポット 】日枝神社(永田町)──江戸城と同じ敷地にあった各式高い神社

『赤坂相模屋』のところてん
明治28年創業の老舗。厳選された天草を浄水で煮出した昔ながらの味には夏の涼が。3〜4人前(600g)1,250円。

港区赤坂3-14-8 TEL:03-3583-6298 (営)10時〜18時 日曜休
  • 辛酸なめ子

    辛酸なめ子 さん (しんさん・なめこ)

    コラムニスト、漫画家

    独自の感性であらゆるジャンルの事象をフィールドワーク。近刊には『江戸時代のオタクファイル』(淡交社)がある。

  • 滝口正哉

    滝口正哉 さん (たきぐち・まさや)

    江戸文化研究家

    江戸文化に関わる多くの著作、論文を著し、セミナーなどでも活躍中。著書に『江戸の祭礼と寺社文化』(同成社)などが。

『クロワッサン』1145号より

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