かさばる紙モノ。情報を整理整頓して頭もクリアに
イラストレーション・フクイナツ 文・吉川明子
紙モノ
土地の権利証からダイレクトメールまで千差万別。情報がたくさん詰まった紙モノは重要なものも少なくないだけに、その片づけは喫緊の課題だ。片づけ講師・渡部亜矢さんに聞く紙モノ整理のコツ。
紙モノの片づけはなぜ難しいのか?
紙には情報が詰まっています。そのため、無意識のうちに〝偉そう〞に感じてしまいがち。重要度が高そうに思えるから「とりあえず取っておこう」となり、溜まる一方。捨てるかどうかを判断するためには目を通さなくてはならないため、取捨選択に時間がかかるというデメリットもあります。でも、土地の権利証や保険証書のように、誰が見ても明らかに重要なものがあるのも紙モノの特徴。こうしたものから手を付けるとスムーズに進みます。
「健康モノ」「お金モノ」「書類モノ」に分類しよう。
紙モノ整理の基本は、「健康モノ」「お金モノ」「書類モノ」への分類です。「健康モノ」は50代以降にとってますます重要なカテゴリ。診察券やお薬手帳などは自分以外の人も見つけやすいよう整理を。「お金モノ」は、通帳や権利証、保険証券などプラスの財産と、領収書や確定申告関連などの支払いにまつわるものの2つがあります。「書類モノ」はこれら2つ以外のもの。人によって重要度は異なるため、自分で優先順位をつける必要があります。
⚫︎健康モノ
マイナンバーカード/診察券/お薬手帳/健診結果/既往歴/メガネや補聴器の仕様書 など
⚫︎お金モノ
通帳/不動産権利証/年金手帳/保険証券/株式/確定申告関連書類/ポイントカード/領収書 など
⚫︎書類モノ
書類/カタログ/チラシ/取扱説明書/メモ/写真/子どもの絵や作文/名簿/住所録 など
明らかに重要なものから着手して、思い出系は最後に。
土地の権利証など、「お金モノ」で明らかに重要なものを分類できたら、次に重要な「健康モノ」に着手しましょう。診察券、お薬手帳、健診結果などのように、そこそこ重要なものからピックアップしていきます。「書類モノ」は、情報系が多いのが特徴。鮮度が命なので、古いものは捨ててよし。写真や手帳、手紙などの思い出系は自分が見られて困るものは処分、写真はベストショットのみを残し、迷ったものはデータ化しておくのがおすすめ。
必要なものは案外少ない!
「紙モノ」に限らないのですが、捨ててしまったあとで必要になるかもと思って片づけが進まない人も多いでしょう。アメリカの国際記録管理協議会によると、書類作成(取得)から半年後には10%の資料しか使っておらず、1年後に見返すのはわずか1%。99%の書類はいらないのです。そのため、「大事なものを捨ててしまうかも」という不安や言い訳は捨ててしまいましょう。直感に従い、もしも3秒以上迷ったとしたら、それは「捨てない理由」を探しているだけかもしれません。
「時系列」の整理を心がけよう。
紙モノが溜まりすぎて、どこから手をつけたらいいのか迷っていませんか? 古いものと新しいものが混在しているので、最近のものから整理すると、記憶に新しいため、スムーズに進められます。また、仕分けた書類を保管する時も、必ず新しいものが手前に来るようにしましょう。なぜなら、紙モノは直近のものほど必要になることが多いからです。しばらくして溜まってきたなと思ったら、古い側の書類の見直しを。
どうしても悩むものは、「スマホで写真」か「一時保存箱」。
書類などは、迷っても決め切れないことはあるでしょう。そういう場合はスマホで写真に撮っておいて捨てるか、「一時保存箱」を作って、その中に入れましょう。写真にして残すと日付が入るので、時系列で保存しやすくなります。書類をスキャンしてPDF化する方法もありますが、手間が多いため、写真を撮るだけのほうが手軽です。「一時保存箱」に入れた後、一定期間以上その箱の中身を見返すことがなければ、捨ててもほぼ問題ありません。
封筒の中身はすべて出して“見える化”を。
けっこう多いのが、届いた書類を封筒のまま保管している人。特に銀行や役所などから届いたものは重要そうに見えるようです。でも、中身をチェックすると不要なものも多いはず。封筒のまま保存しておくのではなく、中身をチェックして、本当に必要なものだけ取り出して。たとえば保険関係の書類の場合、保険証券は大切でも、約款は捨てても問題ありません。必要なものだけ残し、ひと目で中身がわかるクリアファイルで保存しましょう。
「デジタル情報」はリスト化し、紙でも持っておく。
ネットバンキングや証券、各種Webサービスの会員、サブスクなどの「デジタル情報」は、本人以外はわかりにくいもの。そこで会社名、ID、パスワード、支払日や支払い方法などのリスト化を。Excelやスマホのメモなどで作っても構いませんが、終活や万が一の場合も見すえてプリントを。これを「お金モノ」ボックスで保管したり、封筒に入れて信頼できる人に渡し、万が一の時に開封をお願いしておくのもいいでしょう。
『クロワッサン』1138号より
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