みんなの介護の「困った」を解決！介護中の親と一緒に旅行はできる？

A. 必要なサービスを上手に利用して万全な備えで行けば問題なし

介護状態になると、外出がしづらくなる。でも、そういう状況だからこそ「親が行きたがっていた場所へ連れて行ってあげたい」という思いを子は持つものではないだろうか。

森岡さんによると、介護付き旅行を考える際のポイントは3つ。「どういう方法で」「誰と」「どこに泊まる」かだ。

1つめの「方法」とは、ツアーで行くのか、個人で行くのか。ツアーの場合はある程度パッケージ化されているので、申し込みをしてしまえばあとはお任せできる。ただ融通がききにくいことも。

「温泉にはツアーで行きたいけれど、その後は自由行動で行きたいところに行きたい」となると、個人で旅の手配をする必要がある。

「個人で旅行する場合は、介護タクシーを1泊2日で借りて行く人もいます。運転は家族がするけれど、車椅子に乗ったまま乗り降りできる福祉車両が必要というときには、多くの大手レンタカー会社で借りることができます」と森岡さん。

「HISユニバーサルツーリズムデスク」や「近畿日本ツーリスト 人工透析海外旅行」など大手旅行代理店による、バリアフリーのツアーもある。介護・福祉関連の専門知識を持った担当スタッフが、オーダーメイドの個人旅行から団体旅行まで国内外にわたって手配してくれるので、安心して旅を楽しめる。

2つめの「誰と」行くのかは、家族だけで介護ができるのか、さらに人手が必要かどうかの確認。ヘルパーを同行する場合は、その手配と費用を用意する必要があり、「日本介護トラベルサービス」などに相談すると、同行ヘルパー付きのツアーを組んでくれる。

3つめの「どこに泊まる」かは、宿泊先を親と別々にするのか、一緒の宿に泊まるのか。一番手っ取り早いのは、介護職の人が常駐しているインクルーシブな宿を探すこと。多くはないが、全国にいくつかある。もしくは、行った先の有料老人ホームのショートステイを利用して宿泊先を別にするという選択もある。

「旅先や帰省先で、その近くにある高齢者施設のショートステイサービスを利用するのは、介護保険上は問題ありません。実際には、行きたいタイミングでその施設のベッドが空いているのか、単発利用を受け入れてもらえるか、施設までの送迎が可能かどうか、などの点をクリアする必要があります」

「また、初めての施設だと入退所の手続きに時間がかかったり、施設によっては一時退所ができないところもあったりするので、短い旅行にはあまりおすすめできません。法事のついでに1週間くらい帰省するときなどに利用してみては。事前に担当ケアマネジャーに相談してみるとよいでしょう」

ショートステイは、旅の予行演習として利用してみるのも一案だ。

「認知症状がある人は、自宅以外で泊まったときに夜間徘徊があるかどうかなど、泊まってみないと見えてこないことがあります。そして、ショートステイを利用する一番のメリットは、施設が用意してくれる持ち物リスト。旅に必要なものが全て書かれているので、参考になるんです」

例えば、在宅酸素や胃ろうなどで使用する医療機器といった、現地で調達しにくいものにトラブルが発生したときの連絡先など。そうした旅に必要な医療・介護の情報は、専門家の知恵を頼ろう。

通常食が食べられない場合は、医師が作成した「摂食嚥下関連医療資源マップ」を参考にすれば、とろみ食やきざみ食、ミキサー食やペースト食など、嚥下障害があっても外食が可能な全国の飲食店を知ることもできる。

全室引き戸などのバリアフリー対応で、介護ベッド付きの部屋もある。介護スタッフが常駐し、必要な介助サービスを行ってくれる。食事は普通食と同じメニューできざみ食やミキサー食にも対応。

愛知県知多郡南知多町内海一色21・1　
TEL.0569・89・8011