やりたいことを叶えるお金と計画のポイントは?
イラストレーション・John Danon 構成&文・黒澤 彩
学び直し:働きながら学ぶには、お金よりも時間が問題?
リスキリング=学び直しはライフシフトに欠かせない考え方で、ちょっとしたブームでもある。
「少子化の時代ですから、大学も社会人向けのコースに力を入れています。多額のお金を用意しなくても、奨学金や、会社員なら教育訓練給付制度を利用して学ぶこともできますし、通信大学なら入学のハードルが低く、費用も手頃。短大を卒業している人は3年からの編入もできるので、2年分の学費で4年制大学卒業の学位を取ることができます」
「すきま時間で学べる」とは、社会人向け教育の常套句だが、実際のところは勉強時間をどう捻出するかが問題だと山中さん。
「私も今、通信大学で学んでいますが、思った以上に勉強は大変です。お金をかけ、貴重な時間を割くのですから、社会の中で役立つことを学び、仕事に活かせるといいですね」
大学、大学院への通学は年間100万円程度かかるものの、社会人でも利用できる奨学金もあるので調べてみよう。費用が安い通信制で修士まで取得できる大学もあり、学びのために仕事を辞めなくても努力次第では学位や資格の取得が可能。
離婚:年金分割は得にあらず、早合点に気をつけて
熟年離婚のタイミングを考えている人もいるはず。
「よく『年金分割があるから老後のお金には困らない』という人がいますが、それは間違い。離婚時の年金分割とは、夫が受け取る年金の2分の1をもらえるのではありません。婚姻期間中の厚生年金の記録を2分の1に換算した金額ですから、思っているより少ない。経済的メリットがあるとは言えないのです」
夫の扶養に入っている、いわゆる年金3号の人なら自動的にその2分の1を請求できるが、共働きの場合は合意による分割、もしくは分割なしという選択になる。
受け取れるのは基本的に65歳からで、50代で離婚したとすると、60歳までは自分の保険料を払わなければならない。
「離婚するなら、生活できるだけの自分の収入があることが必須です」
遺族厚生年金(夫のほうが先に亡くなった場合)と比較すると、離婚による年金分割のメリットがあまりないのは一目瞭然。もし妻も会社員で、夫と同程度の厚生年金を受給する予定なら、年金分割や遺族年金のことを考えずに離婚できる。
『クロワッサン』1126号より
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