やりたいことを叶えるお金と計画のポイントは?
イラストレーション・John Danon 構成&文・黒澤 彩
【移住】見落としがちな移住後の生活コストも。
大都市圏から地方へ移住し、生活費を低く抑えながらのんびり暮らすのは可能?
「費用は引っ越し代くらい。移住そのものにはさほどお金がかからないでしょう」
ただし、その後の生活についてはよく考え、調べることがたくさんあるという。
「どこに住んでも収入は必要。会社員のままフルリモートで働ける人もいて、そうした収入源を確保したうえなら安心です。新たに職を探せばいいとか、地縁もないのに開業しようという姿勢は、危ういかもしれません」
生活のコストも下がるとはかぎらない。たいていは車の維持費がかかり、医療機関が生活圏になければ通院費もかさむ。水道料金、介護保険料なども自治体によって異なる。
「移住者への助成金を設けている自治体も増えています。でも、本音では想定している移住者は20〜40代。高齢であるほど、納税する以上に公的サービスや給付を受ける立場になるので、歓迎されにくい面もあります」
都市部に戻りたくなったときのために、持ち家を売却しないでおく手もあるだろう。
公示地価は売買の値段ではなくあくまでも参考程度のものだが、大都市とそれ以外との差は歴然。
とくに東京都は突出して土地が高いが、それだけ生活のインフラが整っているという利点も。住宅費だけではなく生活全般のコストで検討したい。
起業:小さなビジネスでも会計の勉強&準備期間を
プチ起業、マイクロ法人といった言葉が定着しつつある。起業というと大きな挑戦のようにも思えるが、会社を設立するのにお金はかからない。オンラインショップなら家賃も設備投資も不要だ。
「手軽に起業できる時代、チャレンジする価値はあると思います。女性だと小売り、飲食を始める人が多い印象ですね。実店舗でやる場合も、初めから家賃の高い物件を契約せずに、ブースで出店できる方法や、時間で貸してくれる店舗を探してみては。高齢の人がやっているお店なら修業するうちに継がせてもらえるチャンスもあるかもしれませんよ」
事業内容によっては自治体から助成金・補助金が出たり、低金利で融資を受けられることもある。住んでいる都道府県にそうした制度があるかを調べてみよう。
「欲を言えば、どんなに小規模でも決算は必要なので、簿記を学んで損はありません。会計の知識を身につける、同じ業種で修業をする、助成などの制度を調べる。この3つの準備ができれば、自信もつくでしょう」
カフェ開業時の目安費用には、物件の賃料を含んでいない。このほかにランニングコスト1〜2年分程度を確保してから開業しようと思うと1000万円以上が要る。初期投資をできるだけ抑えて、小さく始めることがポイントといえそう。
海外留学:短期なら今すぐにでも!本気の留学は計画的に
「海外留学は、目的によってかかるお金も、準備の期間も、覚悟も変わります。ライフシフトするための手段として海外で学ぶ必要があるのかどうか、冷静に見極めましょう」
英語の上達が目的なら、海外に行くまでもなくオンラインレッスンやアプリで取り組むのがずっと割安。
もしくは、短期間でいいから経験として海外でなにか学んでみたいという希望なら、1カ月ほどの休暇をとるだけでよく、費用の面でも100万円以内と手軽。いつかではなく、1年以内にも実現できそうだ。
「これからのライフシフトのために本気で留学しようと考えるなら、資金の面でもそれ相応の準備が必要です。留学費用と仕事を辞めた分の損失をどうやって回収するか、先々の計画まで立てなければなりません」
手軽な体験か、本気の学びか。目的に応じたマネープランを。
短期留学については、大人向けのプログラムも充実している。国や地域によって滞在費や学校の費用も異なるものの、1カ月で30万〜100万円以内。一度きりと決めずに、期間を空けて何度か渡航するプランもあり得る。
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