トマトとほうれん草のサブジ【荻野恭子さんのおいしいトマト煮込み】
撮影・黒川ひろみ スタイリング・矢口紀子 構成&文・堀越和幸
料理研究家の荻野恭子さんはこれまでに世界65カ国以上を訪れて、現地の主婦やシェフに料理を学んできた。
「トマト料理はどの国でも人気。トマトにはグルタミン酸という旨み成分があるから、料理がおいしくなります」
中でも今回紹介してくれたのは各国の家庭で作られている定番煮込み料理。
「肉や魚のタンパク質を1つ、それに2〜3種の野菜を一緒にして煮込むというごくシンプルなものです」
ポイントはスパイスと塩の扱いだ。
「スパイスはすべてだと大変なので、料理の個性が表れる最低限のものを選びました。肉魚には塩で下味をつけて加熱します。煮込んでそれぞれの食材からコクが出たら、最後に味見しながら少量の塩で調えてください」
[トマト缶]でトマトとほうれん草のサブジ(インド)
サブジはペルシャ語で本来、菜っぱを意味するのだそう。
「それがインドでは野菜の炒め蒸し煮料理として定着しました。向こうではスパイス屋さんがあって、お母さんが家族の体調などを見ながらさまざまな種類を調合します」
という環境は望むべくもないが、クミンシードがあれば気分は出る。レンズ豆は皮なしを選んで時短の煮込みに。
【材料(2人分)】
玉ねぎ 1/4個
にんにく 1かけ
トマト缶(カット)1/4缶(100g)
ほうれん草 1束200g
レンズ豆 大さじ3
カレー粉 大さじ1
クミンシード 小さじ1/2
油 大さじ2
塩 小さじ1/2
【作り方】
1.玉ねぎは薄切り、にんにくはすりおろす。ほうれん草は4cmのざく切りにし、さっとゆでて水けを取る。
2.フライパンに油、クミンシードを弱火で熱して香りを出し、玉ねぎ、にんにくを加え、しんなりするまで炒める。
3.2にトマト缶、ほうれん草、レンズ豆、水1/2カップ、カレー粉を入れ、蓋をして10分ほど弱めの中火で蒸し煮する。塩で味を調えて仕上げる。
『クロワッサン』1129号より
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