建て替えた実家に合わせて選んだ、アンティークと新しいもの。uka代表・渡邉季穂さんの新しい住まい。
撮影・加藤新作 文・中嶋茉莉花
建て替えた実家に合わせて選んだ、アンティークと新しいもの。
門の脇には梅の木が立ち、庭には古い物干し台が残る。洗練されているのに懐かしい感じもあるのは当然。渡邉季穂さんの家は、今は亡き家族と暮らした実家だ。
「手放そうとも思いましたが、昔、父が妹のために植えた梅の木を見ていたら気持ちが変わりました」
思い出は断ち切らず、でも湿っぽいのはなしにしたい。外壁や庭など当時のものを一部残し、中はスタイリッシュに建て替えをした。
「LDKのある1階は仕切りをなくし、白や薄いブルーの壁の色でゾーニング。床の木幅までこだわった家の雰囲気や色合いに合わせ、家具や道具はアンティーク、作家ものや木製、色はベージュ、グレーでまとめて、ゆったりと穏やかに過ごせる空間を目指しました」
HAY(ヘイ)のラグ
恋焦がれ、数カ月、入荷を待った一枚。
「グレーのソファや薄いブルーの壁にはベージュ系の色合いが合うだろうなと思ってたところ、出合ったラグです。まるでオーダーしたみたいにリビングにぴったりのサイズだったので、迷わず我が家に招き入れました。織りや色のムラが美しく、それでいて主張が強くないので、寛げます」。
ザ・コンランショップのベンチ
スリムで角のない個性的な形にひとめぼれ。
インテリアスタイリストの石井佳苗さんと福岡県の広松木工が共作してできた〝アン シェーカー ベンチ〞。「シェーカー家具に倣ったミニマムなデザインが気に入っています。リビングの壁に寄せて置いて、ふだんは『アラジン』のプロジェクターを飾るようにのせています」。
大正時代のケヤキのダイニングテーブル
新しい家にしっくりなじむ100年以上前の日本製。
「パリに移住した友人が、出国前に譲ってくれたアンティークです。大正時代にテーラーで使っていたものだそう。『ほんとうはもっとずっと高いけれど友人価格でどうぞって(笑)』。天板はケヤキの一枚板。色濃く現れた木目、所々に残るキズが味になっています。隣のキッチンカウンターと偶然にも幅が同じで、我が家に来る運命だったと思っています」
平澤まりこさんのアート
作家本人のすすめもあって選んだ、玄関に飾る一枚。
「平澤さんの個展に出かけた時にご本人から『季穂さんの家に合うと思うわ』と薦められた、〈手〉をモチーフにした版画。手招きされているようにも、手を振られているようにも見え、それならと玄関を入った正面の壁に飾ることにしました。ゲストを迎え、見送る役を担ってくれています。新しい家には平澤さんの作品を飾りたかったので、願いが叶いました」
ルイスポールセンのテーブルランプ
見た目が美しく、機能性も高い。
「リビングの隅を読書コーナーに。そこに以前から欲しかったルイスポールセンのランプ〝NJPテーブル〞を置いています。シェードの向きを自在に変えられるので、夜は部屋の明かりを落とし、光を壁に当てて。ソファの端に腰かけ、その光だけで静かに過ごす時間が気に入っています」。
*紹介した商品はすべて私物です。
『クロワッサン』1131号より
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