【手軽で万能、箒の魅力】水に強く、丈夫で経済的。用途で使い分けるさまざまな箒。
撮影・中島慶子 文・野村美丘(photopicnic)
全国の掃除好きにファンが多いアズマ工業は、今年で創業128年。人々の暮らしに寄り添い続けてきたその長い歴史のなかで、さまざまな清掃用品の開発を手がけてきた。
驚くべきは、箒だけでも約150種類のラインナップがあること。箒一本でもこれだけ微妙な使い分けや細かな要望があり、そして、それに応えてきたという証しだろう。
その中から、化繊素材や屋外用の箒について解説してくれたのは、同社営業企画課の川崎裕美さん。
「化繊の箒のいちばんの特徴はまず、水に強いこと。排水溝や濡れたコンクリート、濡れ落ち葉なども簡単に掃けますし、使い終わったらそのままガシガシ洗っていただけます」
丈夫で傷みにくく、人工素材のため穂の太さも調整できる。それでいて価格が手頃なのも大きな魅力だ。
「玄関先など、箒でないと掃除ができない場所は意外にあります。原始的ですが、箒は非常に優れた道具です」
自分に合ったものを使うと、道具は最大限の威力を発揮し、つまりは掃除もはかどる、というものだ。
アズマ工業
1896年、静岡県浜松市で創業。幅広い清掃用品を提供するほか、ホームクリーニングやおそうじ塾などを手がける。
●静岡県浜松市中央区野口町626
TEL.053・463・3300
化繊箒をもっと使いこなす。
Q.化繊の箒の保管方法は?
A.化繊も穂はデリケートです。負荷がかからないよう、穂を下に向けて吊るしてください。濡れたら充分に乾かしてから、湿気のある場所を避けて保管すると長持ちします。(川崎さん)
Q.屋外用箒は特にゴミがつきやすいのだけど……。
A.手で大きなゴミを払ったあと、櫛などで穂を梳いてみてください。化繊の箒は、さらに洗って汚れを取ることができますので、手軽にお手入れができます。
Q.交換の目安がわからない!
A.まだまだ使えそうに見えても、実は穂が短くなったり広がったり。新調すると掃除のしやすさは歴然です。10〜12月は年末掃除に備えてホームセンターに箒がたくさん集まっているので、実際に掃き比べて選べますよ。使い慣れたものだけでなく、新しい素材や体に合ったサイズの箒との出合いがあるかもしれません。
Q.箒は何種類も揃える必要はある?
A.用途によって適した箒は異なります。アズマ工業には掃除好きの社員が多いですが(下写真の2人)、シダほうき以外にも、葉脈ほうきや化繊ほうきなど、自宅周りの屋外用だけでも複数使いをしています。掃除したいものや場所によって使い分けていただくことが、効率アップのポイントになると思います。
◆掃除機が使えない屋外の必須アイテム。
庭掃除に特化したコンポ化繊箒。
コシのある太い穂と、しなやかな細い穂を組み合わせることで、軽い砂ボコリも重さのある小石も一度で掃き出せる。
細い穂が細かなゴミを、太い穂が大きなゴミをキャッチ。水を流しながらジャブジャブ使えるほど耐久性も抜群。
屋外の排水溝など水に強い化繊箒。
濡れたコンクリート上や濡れ落ち葉などにも対応する太い穂。柄が長いので、排水溝も腰に負担がかからず楽な姿勢で掃除できる。
溝にはまった濡れ落ち葉も一度にゴソッと掃けるのは、太くガリガリしたポリプロピレンの穂ならでは。
砂ボコリまでしっかり捕える黒シダ箒。
太くコシがありしっかりしている赤シダに比べ、細くしなやかな黒シダは、水まわりを掃いても穂が反りにくい特長も。
戸建ての玄関まわりは赤シダほうきも使用。砂利なども掃き出すことができる。
マンションの玄関や廊下まわりは黒シダほうきで。細かい砂ボコリもきれいに掃き取れる。
家庭で使う、デッキブラシ。
家庭で使いやすいコンパクトサイズ。290gと軽く扱いもラク。ヘッドがプラスチックなので腐食やカビの心配もない。
デッキブラシはゴミを掃くのではなく、こびりついた汚れをこすり落とす。土足フロアやタイルの水洗いに。
◆好みや場所に合わせて最適解を選ぼう。
フロアの掃除にぴったりの自在箒。
ヘッドが自在に動き、細かなゴミまでしっかり取れる。広いフロア向きで店舗や業務用にもよく使われる。階段掃除にも。
穂先を床面にピタッと当て、力を入れずにやさしく撫でるように掃くのが、自在箒の上手な使い方。
お墓参りに携帯したい手箒。
墓石の溝や彫りの部分など入り組んだ場所の手入れに特化。水に強くしなやかな黒シダだから、大切な墓石も傷つけず掃除できる。
線香の灰や墓石まわりの砂ボコリも取り除ける箒が欲しい、という声から生まれた商品。
ちりとりとセット、磁石で収納できる。
伸縮柄は取り外しもでき、手箒としても使用できる。また磁石付きなので収納場所を取らない。
伸縮柄はヘッドが回ってしまうことがあるので、狭い場所では力を入れず刷毛のように優しいタッチで使って。
※箒のサイズはいずれもおよその表記です。
『クロワッサン』1128号より
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