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進化する冷凍弁当の実力、白央篤司さんと井原裕子さんが実食レポート!

どうがんばっても台所に立ちたくないとき、冷凍庫にお弁当があれば、おなかも心も救われます。おいしく進化中の冷凍弁当をプロが実食レポート!

撮影・天日恵美子 文・中嶋茉莉花

左・「栄養バランスが適正。 常備しておくと安心。」料理研究家 井原裕子さん|右・「冷凍弁当の存在を知らないと損をします。」白央篤司さん フードライター、コラムニスト
左・「栄養バランスが適正。 常備しておくと安心。」料理研究家 井原裕子さん|右・「冷凍弁当の存在を知らないと損をします。」白央篤司さん フードライター、コラムニスト

料理は楽しいし、作り立てはおいしい。でも台所に立つ気力も体力もないとき、フードライターの白央篤司さんと料理研究家の井原裕子さんは無理しない。彼らが頼るのは冷凍弁当だ。手軽さだけではないその魅力を教えてもらった。

白央篤司さん(以下、白央) ここ4~5年で、外食より自宅で料理をしたい人が増え、その手助け役となる冷凍食品のバリエーションもずいぶんと豊富になりました。実はそれにともなって冷凍弁当もかなり進化を遂げているんですよね。おいしいもの、ユニークなもの、健康的なもの……と選択肢は増えています。こんなにも優れた冷凍弁当があるのに、その存在を知らない人がまだまだ多く、もったいないなと感じています。

井原裕子さん(以下、井原) 食品メーカーの企画・開発に携わっていると、冷凍技術ってほんとうに進歩していて驚かされます。冷凍に向く野菜を採用し、栄養素が損なわれないよう上手に冷凍しているんです。温めた後の食感にも違和感がないものが多くて。それはおかずやご飯などを単品で温める場合だけでなく、冷凍弁当であっても同様。自分で栄養を考えて1食分を料理しても実のところは曖昧ですから、冷凍弁当のほうが栄養バランスが明確、適正だと思うこともあります。

適当に済ませたくない、栄養を摂りたいときこそ頼るべき。

白央 井原さんは、高齢のお父さま宛てに冷凍弁当を定期宅配してもらっているんですよね?

井原 ナッシュ(画面下)にお願いしています。メニューを選べるので、毎回、塩分やたんぱく質の量、総カロリーなどを確認してからオーダー。細かく表示されていて、安心です。父はレンジで温めるだけでよく、「おいしい」と喜んでいます。

「温め方の表記は、ベストの味に仕上げるためのもの。そのとおりにすることが大切」と井原さん。
「温め方の表記は、ベストの味に仕上げるためのもの。そのとおりにすることが大切」と井原さん。

ナッシュ|チリハンバーグステーキ

進化する冷凍弁当の実力、白央篤司さんと井原裕子さんが実食レポート!

糖質30g、塩分2.5g以下。健康を第一に考えた、ヘルシーさもうり。

専属シェフと管理栄養士を中心に糖質と塩分の摂り過ぎを防ぐメニューを開発。毎週新メニューが登場。「なすのバジルソース、そら豆のポテトサラダなど副菜の味のきかせ方にセンスを感じます」(井原さん)。60種類以上から組み合わせ可能。おかずのみ1食あたり698円(6食プラン)、623円(8食プラン)、599円(10食プラン)(ナッシュ TEL.050・3101・6850)

カロリー 429kcal
賞味期限 1年

進化する冷凍弁当の実力、白央篤司さんと井原裕子さんが実食レポート!

白央 毎日が忙しいと、せっかく野菜を買ってきても、冷蔵庫の中でくたびれさせてしまうなんてことも少なくありません。それこそ、高齢の方も野菜の管理はたいへん。それであれば、冷凍された弁当のほうが、野菜の旬の味をそのままに、1食で複数の種類を味わえるなんてことは往々にしてあるわけで。どこかでまだ、冷凍食品を使って食事を用意すること、弁当で1食済ませることに抵抗を覚える人もいるようですが、もうそんな時代ではないんじゃないかなと思うんですよね。体のことを考えるからこそ冷凍弁当を選択するということが、これからは当たり前になっていくかもしれません。

井原 食材を冷凍し、その後温めるという工程に適したタレやソースで味つけするなど、“ベスト”が追求されているものが多いことも知られていないかも。自分だと、忙しさからついつい同じ味つけを繰り返すだけになりがちですが、冷凍弁当であれば、家では再現できない味やメニューに出合えるのも楽しいですよね。三ツ星ファームのオレガノが香るハンバーグソースやDELIPICKSのギリシャのグラタン、ムサカがいい例ですね。管理栄養士に加え、一流の料理人やシェフがメニュー考案に関わっているところもあります。

白央 うぶすなのからあげにキャラメルナッツが絡めてあったのは、感激しながら驚きました。“パスタで一食”などのように、一見すると野菜不足かなと思いがちな冷凍弁当でも、実はパスタソースにしっかりと野菜が入っていて、栄養バランスがいいものもあります。ただ、日本人は主食+主菜に副菜が組み合わせてあるほうが「野菜もちゃんと摂れそう」と考える人が多い。それでメーカーも、何をどう組み合わせるかにかなり力を入れているようです。味の素なんて上手。老若男女が好きな“ギョーザライス”にさらに肉と彩り野菜を添え、冷凍弁当にしてしまうとは……!

三ツ星ファーム|濃厚トマトソースとチーズの贅沢ハンバーグ

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低糖質・高たんぱくなおかずプレート。人気店の料理人こだわりメニューも。

5分程度の加熱で本格的な料理が楽しめる。コク深い味わいながら、その多くが350kcal以下。和・洋・中・エスニックの多岐にわたるメニューからスイーツまで100種類以上を取り揃える。おかずのみ、メニューは組み合わせ可能。1食あたり896円(7食コース)、788円(14食コース)、680円(21食コース)※送料別(三ツ星ファーム TEL.0120・39・3244)

カロリー 260kcal
賞味期限 製造から1年

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DELIPICKS|大豆ミートを使った ギリシャ風グラタン ムサカ

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一流フレンチシェフが監修した約150種類からおすすめメニューを提案。

自分ではなかなか調理しない多国籍メニューも充実。「平均糖質30g以下、たんぱく質が20g以上というのがすごい。容器が薄く、冷凍庫内でスペースをとりません」(白央さん)。1食あたり 853円(6食セット)、809円(8食セット)、787円(10食セット)+216円で雑穀米、もしくは雑穀米とブロッコリーを選べる。(デリピックス https://www.deli-picks.com/

カロリー 293kcal
賞味期限 製造日から365日以内

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うぶすな|季節のからあげ弁当 ー 秋のナッツカラメリゼ ー

無添加、無農薬。無投薬飼育の若鶏と季節野菜を使った、ごほうび弁当。

東洋医学、四季や二十四節気を意識。旬の食材や、無農薬・無添加素材を用いたごはんが届く。「開放鶏舎で育てられた鶏肉を一番搾りの菜種油でからあげに。それがキャラメルナッツと絡めてある。特別感満点です。湯せんや蒸し解凍できる、冷凍弁当の中でも新しいタイプ」(白央さん)。1,350円(薬膳と九州 四季のごはん うぶすな TEL.092・401・0394)

カロリー 710kcal 
賞味期限 1カ月

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味の素「あえて、」|ギョーザ、枝豆と干しえびのまぜご飯

進化する冷凍弁当の実力、白央篤司さんと井原裕子さんが実食レポート!

複数の素材と押し麦入りの混ぜご飯に彩り豊かな野菜たっぷりのおかず。

長年の味覚研究を基にした〈おいしさ設計技術(R)〉でメニューを構築。1食の食物繊維、食塩相当量、野菜配合量は1日の摂取目安の3分の1に設定。「押し麦ご飯に枝豆と干しえびを混ぜ、副菜の鶏肉を特製調味料に漬け込む配慮が秀逸」(白央さん)。定期便は1食961円(6食コース)、853円(12食コース)、745円(20食コース)(味の素 https://aete.ajinomoto.co.jp/

カロリー 464kcal
賞味期限 製造から1年

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井原 そもそもご飯とおかず各種をまるごと同じ分数温めればOKにできるのがすごいこと。同時に卵の黄身が半熟で出来上がるんですもの。こういったことこそが冷凍技術向上の証しと言っていいでしょう。疲れた日の帰り道、買い物をするのもおっくうになることってありません? 冷蔵庫を開ける気にもならないようなときもありますよね。そんなとき、冷凍庫に弁当が入っていることでどれだけ助けられるか!

白央 それでいて、適当に済ませるのはいや、疲れているからこそ栄養たっぷりに! なんてわがままを言いたくなるんですよね。それにすべて応えてくれるのが、冷凍弁当の魅力。今回試食したものは特に、食べる人を労うような、舌が疲れないやさしい味のメニューばかりでした。それを、7~10分程度、レンジで温めるだけで、出来立てが食べられるんですから、ありがたい。仕事や家事に疲れて、よりヘルシーさを求めているときなら、高齢者用メニューも手掛けるワタミベネッセを。パルシステムはサイズがやや小さめなので、「たくさんは食べられない」という日にもいいと思いますよ。

井原 直球メニューが好き、空腹で帰宅したなんて子どもには、ニップンローソンを出してあげると、きっと大喜びするはず。

「適当に済ませたくない日の“安心貯金”に。」
「適当に済ませたくない日の“安心貯金”に。」

ワタミの宅食ダイレクト| 「いつでも五菜」 手ごねつくねと国産ほうれん草 黄味添え

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管理栄養士が献立を設計。おかずの数は3〜5種類を選べる。

管理栄養士が品目数やバランスに配慮。なじみがあり、高齢者の口にも合う惣菜も多い。「手ごねつくねやかぼちゃとひじきの和えものなど短時間で作れない、でも毎日でも食べたいおかずがあり、うれしい」(井原さん)。初めての利用で、1食あたり「いつでも三菜」385円〜、「いつでも五菜」484円〜。※送料別、ご飯ありのセットも可能。(ワタミ TEL.0120・934・751)

カロリー 285kcal
賞味期限 製造から1年

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ベネッセのおうちごはん冷凍| 「バランス健康食」ぶり大根

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食べ慣れた惣菜が中心。魚か肉を選べて、制限食ややわらか食も。

管理栄養士がおいしさと栄養のバランスがとれた70種のメニューを考案。お試しが可能な"セット便"のほか、毎週・隔週・4週でお届けサイクルが選択できる定期便がある。「日本人好みの"茶色い弁当"。薄味ながら五味がちゃんと立っています」(白央さん)。バランス健康食 セット便 肉コース、魚介コースなど各3,890円〜(6食)(ベネッセパレット TEL.0120・586・008)

カロリー 263kcal
賞味期限 製造日より180日

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パルシステム|五目釜飯風ごはんと鶏唐揚げ

進化する冷凍弁当の実力、白央篤司さんと井原裕子さんが実食レポート!

お手頃価格で気軽に注文。ご飯の割合が多く、満足感あり。

産直や自然環境に配慮した宅配サービスが提供する安心価格の冷凍弁当。「メイン1品+副菜2~3品、あるいは炊き込みご飯+副菜2品などと多すぎず少なすぎない量だから、子どもや高齢者も食べきれるのでは。家庭料理にあるような食べ慣れたメニューが多いので、疲れているときでも箸が進みそうです」(井原さん)。484円(パルシステム TEL.0120・53・4400)

カロリー 347kcal
賞味期間 約1年

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ニップン|よくばり御膳 五目ご飯と鶏と野菜の黒酢あん

進化する冷凍弁当の実力、白央篤司さんと井原裕子さんが実食レポート!

野菜はたっぷり100g。しっかりとした味つけでボリューム満点。

スーパーで気軽に買え、主食+主菜の"和食セット""洋食セット"、あるいは主食+主食の"がっつりメニュー"などバラエティが豊富。「鶏と野菜の黒酢あんは、ナスがとろとろ、黒酢のあんをからめた鶏肉はふっくらしていて、冷凍とは思えません。彩りもきれいです」(白央さん)。100g入り。430円※編集部調べ(ニップン TEL.0120・184・157)

カロリー 421kcal
賞味期限 製造から1年

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ローソン|濃厚デミソースのロコモコ

進化する冷凍弁当の実力、白央篤司さんと井原裕子さんが実食レポート!

半熟卵を絡めて食べる、小ぶりなサイズのワンプレート飯。

ご飯と具材がセットになったシリーズ。ガパオライスも人気。「コンビニの冷凍弁当は、その場でレンチンして食べられる利点も。部活や塾帰りの子どもにサッと食べてきてもらうという日があってもいいのでは。ロコモコは、完熟トマトと赤ワインを使ったデミグラスソースがとても濃厚です」(井原さん)。473円(ローソンカスタマーセンター TEL.0120・07・3963)

カロリー 406kcal
賞味期限 製造から1年

進化する冷凍弁当の実力、白央篤司さんと井原裕子さんが実食レポート!

白央 冷凍弁当って、“安心貯金”だと思うんです。近所においしいお惣菜屋さんがあると、助かりますよね。それと同じ。何かのときに頼れるし、気分に合わせて選ぶこともできる。ご飯と味噌汁は用意できるから、「おかずだけ冷凍弁当に頼ろう」でもいい。選択肢は多いほど、暮らしにも心にもゆとりが生まれます。

井原 自分で作らなきゃという呪縛からは、そろそろ解かれていいのでは。チンするだけで簡単にできるものだけれど、桜えびと枝豆が入った混ぜご飯のような手間をかけたおいしさがいただける。冷凍弁当はむしろごちそう! 積極的に楽しんで活用するのがいまどきだと思います。

「手間のかかった味はもはやごちそう!」
「手間のかかった味はもはやごちそう!」
  • 白央篤司

    白央篤司 さん (はくおう・あつし)

    フードライター、コラムニスト

    日本の郷土食、ローカルフード、暮らしと食をテーマに執筆。『台所をひらく』(大和書房)など著書多数。自ら台所に立ち、時短になりおいしくできる調理法を日々探求。

  • 井原裕子

    井原裕子 さん (いはら・ゆうこ)

    料理研究家

    「食と人」代表取締役。野菜ソムリエの資格を持ち、季節感のある素材選び、作りやすく健康にいいレシピなどに定評がある。道の駅やスーパーのおいしいもの探しが好き。

『クロワッサン』1125号より

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