浮気を繰り返す夫から別れようと言われました【信田さよ子さんのお悩み相談室】
撮影・イラストレーション・椎木彩子 文・長谷川未緒
みなさんの悩みに、ストレートにお答えします。
夫の繰り返す浮気
夫がまた浮気しました。子どもが生まれたばかりの頃も浮気して、私は鬱になるほど苦しんだのに……。問い詰めたところ、別れようと言ってきました。悔しいし許せないけれど、子どもはまだ中学生でこれから学費もかかるし、私は専業主婦なので経済的に自立する自信もありません。それに、まだ情のようなものはあって、別れたいのかどうか、自分で自分の気持ちがはっきりしません。(50代・主婦)
浮気の証拠はすべて記録し、話し合いには弁護士を立てて。
おつらい経験をされましたね。ご夫婦だけで話し合って解決するのは難しい状況ですから、弁護士に相談することをおすすめします。夫は本気で浮気相手に乗り換えようとしているかもしれませんが、ご相談者は50代で、専業主婦という立場です。
別れると言いさえすれば、許さざるを得ないだろうと高を括っている面もあります。決然と、弁護士に相談する意思を示したとたんに慌てふためき、「悪かった、許してくれ。もう1回やり直してくれ」と言ってくる可能性もあります。
許す・許さないはご相談者の自由ですが、浮気は精神的なドメスティックバイオレンスなんです。彼の非道を黙って見過ごすことは、ご自身の人生を馬鹿にすることだと私は思います。ご相談者がこれからの人生を後悔なく生きるためにも、それ相応のものを要求して別れる覚悟がある、という意思を示したほうがいいでしょう。
「情のようなものがある」と書いておられますが、夫と離れて生きていけるかどうか、経済的な面も含めて不安なんですよね。自信のなさが情という言葉であらわされているのではないかと思いますので、パートでもいいので働いたり、慰謝料などそれなりにまとまった金額が入ってきたりすれば、情も未練もきれいさっぱりしてしまうというのはよくあることです。
弁護士に相談する際に大切なことは、夫が浮気した証拠や、別れようと言い出した記録をできるだけ残しておくことです。浮気相手と肉体関係があったと推測できるスマホのメッセージのやりとりや、話し合い時の音声録音、何月何日にこんなことがあった、言われたといった日記のようなメモでもいいので揃えておきましょう。
有責配偶者として、慰謝料に加えて毎月の養育費などを支払い続けてもらうためにも必ず必要です。
また、こういったご相談を受けたときにいつもお伝えするのは、自分から「別れたい」とは決して言わないでください、ということです。あくまでも別れを切り出したのは夫のほうで、「あなたが別れたいというから、今後の身の振り方を考えるために弁護士に相談しています。こういう条件でなら別れてもいいです」と展開し、条件闘争に持っていくのです。
おつらいでしょうが、こういうときこそ冷静に、戦略を持って進めていきましょう。
『クロワッサン』1123号より