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「工芸ライター」田中敦子さんが手みやげに推薦!『浅野屋煎餅店』の「三種詰合せ」

撮影・青木和義 文・辻さゆり

しっかりと米の味がする、生地から手作りした煎餅。

柴又帝釈天の参道にある、生地から手作りし、手焼きしている煎餅店。写真の「三種詰合せ」は、醤油、ごま、青のりの3種10枚入りで、550円。ほかに、柴又ならではの寅さんの顔を模した四角い「寅さんせんべい」(2枚入り350円)も。
柴又帝釈天の参道にある、生地から手作りし、手焼きしている煎餅店。写真の「三種詰合せ」は、醤油、ごま、青のりの3種10枚入りで、550円。ほかに、柴又ならではの寅さんの顔を模した四角い「寅さんせんべい」(2枚入り350円)も。

工芸や着物などの執筆や編集で、日本文化の魅力を発信し続けている田中敦子さん。お薦めの手みやげは、幼少の頃から過ごした東京・柴又にある『浅野屋煎餅店』の手焼き煎餅だ。

「店のおかみ、浅野明美さんは、地元の幼稚園に共に通った幼なじみです。でも、そういった関係を割り引いても、本当においしいお煎餅です。お米にこだわって丁寧に作られているから、食べた時にしっかりとお米の味がする。今回ご紹介した3種入りは、サイズもお値段も気楽にお渡しするのにぴったりで日持ちもするから、うちにいらした方や、気軽な集まりの手みやげによく買っています」

実は『浅野屋煎餅店』は、もとは牛乳店だった。明美さんの父親のお煎餅好きが高じ、家業だった牛乳店をやめ、50年前に柴又帝釈天の参道に煎餅店を開いたのが始まりだ。創業当時から、父の出身地である茨城県産のコシヒカリを玄米で仕入れ、精米から生地作り、乾燥、焼きに至る全ての工程を手作業で行っている。

「生地を仕入れているお煎餅屋さんが多い中、これほど手間をかけて作っている店は今や貴重だと思います。手焼きだからか、自宅用に買ってキッチンに置いておくと、隣の部屋にまで良い匂いが漂ってくるんです。お煎餅って小腹がすいた時、お酒のおつまみ、お茶請けにもなる、最もシンプルな日本のお菓子ですよね」

店頭には大型の丸いガラス瓶に入れられた手焼き煎餅が並び、昔懐かしいお店の佇まいがそのまま残されている。

「工芸でも素材がいいもの、きちんと手仕事で作られたものにはえもいわれぬ美しさや魅力があって、それは食にも通じると思います。このお煎餅もそうで、お父様のこだわりを今に受け継いでずっと手作りされている。工芸同様、そういった良いものは人に伝えたくなるし、応援したくなりますね」

「工芸ライター」田中敦子さんが手みやげに推薦!『浅野屋煎餅店』の「三種詰合せ」

●浅野屋煎餅店(あさのやせんべいてん)
東京都葛飾区柴又7・6・18 
TEL.03・3658・7576 
営業時間:9時〜16時(土・日曜は〜17時)、月曜休。

  • 田中敦子

    田中敦子 さん (たなか・あつこ )

    工芸ライター

    出版社勤務を経て独立。工芸や着物、日本文化を主に執筆・編集。また、工芸の企画展プロデュースやアドバイスも行っている。近著に『父のおじさん 作家・尾崎一雄と父の不思議な関係』(里文出版)など。

『クロワッサン』1121号より

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