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独自の進化を遂げているオーストラリアのカフェ文化。 その中心地メルボルンで素敵なカフェめぐりを。

オーストラリア南東部のビクトリア州。その州都であるメルボルンは、イギリスの政治経済誌〈エコノミスト〉の『世界で最も住みやすい都市』ランキングで7回も1位に選ばれている街です。ヨーロッパを思わせる美しい街並みの中には、数多くのカフェやレストランが立ち並び、オーストラリアでも屈指のおいしい街としても有名。そんなメルボルンの魅力的な美食の数々をご紹介します。

写真・文 斎藤理子 ※文中のAUD(エーユーディー)はオーストラリアの通貨です。1AUD=107.50円(2024年7月1日現在)

独自の進化を遂げているオーストラリアのカフェ文化。 その中心地メルボルンで素敵なカフェめぐりを。

世界一充実したカフェ文化があるメルボルン。街を歩けば、驚くほどの数のカフェが軒を並べています。メルボルンの人々の1日の折々にカフェは欠かせません。独自のカフェ文化が根付くメルボルンの中でも、人気のお店を訪ねてみました。

〈HIGHER GROUND〉のフラット・ホワイト AUD5.5
〈HIGHER GROUND〉のフラット・ホワイト AUD5.5

誰もがお気に入りのバリスタがいるといわれるメルボルンは、お洒落なカフェにあふれた街。

世界大会で優勝するバリスタを何人も輩出しているメルボルンは、今や世界のコーヒーの中心地。2000軒以上あると言われるカフェの多くは、スペシャルティコーヒー専門店です。豆のシングルオリジンやロースト方法にこだわり、農園や生産者の情報を開示してトレースできるようにするなど、徹底した品質管理に気を配っています。

カフェのコーヒーメニューは大きく分けて3種類。エスプレッソにミルクを注いだホワイトコーヒー、エスプレッソやロングブラック(エスプレッソにお湯を注いだもの)などのブラックコーヒー、ドリップコーヒーのブリュードコーヒーです。一番人気は、エスプレッソにきめ細かく泡立てたスチームミルクを加えた〈フラットホワイト〉というコーヒー。バリスタたちが自慢の1杯を淹れてくれます。

そんなメルボルンでも1、2を争う人気店が〈HIGHER GROUND(ハイヤー・グラウンド)〉。ターミナル駅であるサザンクロス駅の近くにある赤煉瓦が印象的です。発電所をリノベーションし、素敵なカフェに生まれ変わりました。高い天井に大きなアーチ型の窓が教会を思わせる空間は、約160席もあり朝から夕方までひっきりなしに客が出入りしているのに、不思議と落ち着いた雰囲気。地元産の食材を使った本格的な料理も終日楽しめ、週末はディナーの提供も。TPOに合わせてさまざまな使い方ができるカフェです。

ステンレスや鉄板などが効果的に使われ、教会のようでいてインダストリアルな雰囲気も併せ持つ。2017年に〈Australian Interior Design Awards〉を受賞。
ステンレスや鉄板などが効果的に使われ、教会のようでいてインダストリアルな雰囲気も併せ持つ。2017年に〈Australian Interior Design Awards〉を受賞。
フラット・ホワイト AUD5.5。ラテやカプチーノよりもミルクフォームの量が少ない。非常に飲みやすく美味しい。
フラット・ホワイト AUD5.5。ラテやカプチーノよりもミルクフォームの量が少ない。非常に飲みやすく美味しい。
レンガの外壁とアーチ型の大窓が印象的なエントランス。
レンガの外壁とアーチ型の大窓が印象的なエントランス。
看板が目立たないので見過ごしがちだが、このレンガの壁を目印に。
看板が目立たないので見過ごしがちだが、このレンガの壁を目印に。
ステンレスや鉄板などが効果的に使われ、教会のようでいてインダストリアルな雰囲気も併せ持つ。2017年に〈Australian Interior Design Awards〉を受賞。
フラット・ホワイト AUD5.5。ラテやカプチーノよりもミルクフォームの量が少ない。非常に飲みやすく美味しい。
レンガの外壁とアーチ型の大窓が印象的なエントランス。
看板が目立たないので見過ごしがちだが、このレンガの壁を目印に。

個性あふれるカフェの数々は圧倒的。時間がなければテイクアウトで味の違いを楽しんで。

クイーン・ビクトリア・マーケットのST.Ali店内。印象的なデザインの天井と、大理石のカウンターがお洒落。自家焙煎の豆もここで買える。
クイーン・ビクトリア・マーケットのST.Ali店内。印象的なデザインの天井と、大理石のカウンターがお洒落。自家焙煎の豆もここで買える。
クイーン・ビクトリア・マーケットのST.Ali店内。印象的なデザインの天井と、大理石のカウンターがお洒落。自家焙煎の豆もここで買える。
クイーン・ビクトリア・マーケットのST.Ali店内。印象的なデザインの天井と、大理石のカウンターがお洒落。自家焙煎の豆もここで買える。
クイーン・ビクトリア・マーケットのST.Ali店内。印象的なデザインの天井と、大理石のカウンターがお洒落。自家焙煎の豆もここで買える。
クイーン・ビクトリア・マーケットのST.Ali店内。印象的なデザインの天井と、大理石のカウンターがお洒落。自家焙煎の豆もここで買える。

2005年創業の〈ST.Ali(セント・アリ)〉は、メルボルンのスペシャルティコーヒーの先駆者的存在。シングルオリジンの豆や店内焙煎など、今や多くの店で普通に行われている事を定着させてきた店です。〈ST.Ali〉はコロンビアに24000坪の自社農園を持ち、そこからの高品質な豆を使用して社内焙煎し、美味しいコーヒーを淹れます。違うコーヒー豆で淹れたエスプレッソ飲み比べ(ESPRESSO  FLIGHT AUD18)なども体験できるので、コーヒー好きならぜひ試してみてください。

食事もおいしくて、メルボルンの人におすすめのカフェを聞けば必ず名前があがるお店。ワインやカクテルも楽しめます。本店は中心地から少し外れた場所にありますが、クイーン・ビクトリア・マーケットやメルボルン空港にも支店があるので、ぜひ立ち寄り味わってみてください。

ハウスブレンド・フラットホワイト AUD6.5
ハウスブレンド・フラットホワイト AUD6.5
TURKISH EGGS(ターキッシュ・エッグス) AUD27.5。ポーチドエッグに、中東風のハーブやスパイス、ひまわりの種とオリジナルのチリオイルをかけ、ピアディーナ・ブレッドを添えて。ロングブラックコーヒー AUD6.5。
TURKISH EGGS(ターキッシュ・エッグス) AUD27.5。ポーチドエッグに、中東風のハーブやスパイス、ひまわりの種とオリジナルのチリオイルをかけ、ピアディーナ・ブレッドを添えて。ロングブラックコーヒー AUD6.5。
ハウスブレンド・フラットホワイト AUD6.5
TURKISH EGGS(ターキッシュ・エッグス) AUD27.5。ポーチドエッグに、中東風のハーブやスパイス、ひまわりの種とオリジナルのチリオイルをかけ、ピアディーナ・ブレッドを添えて。ロングブラックコーヒー AUD6.5。

シティと呼ばれるメルボルン中心地には、カフェやショップが立ち並ぶ〈レーンウェイ〉と呼ばれる路地がたくさんあり、街を個性的で魅力的なものにしています。メルボルンのランドマーク的存在のフリンダース・ストリート駅前の大通りから1本入ったFlinders Lane(フリンダース・レーン)という通りを中心としたエリアはその代表。ここは数えきれないほどのカフェが軒を連ねる、メルボルンカフェ文化を象徴するような場所です。

フリンダーズ・レーンの人気カフェのひとつ〈JOURNAL(ジャーナル)〉は、コーヒーはもちろん食事も充実していて、朝食やランチにも最適なカフェです。自家製のサワードウやマルチグレインのパンがとてもおいしく、それを使ったサンドイッチもおすすめです。平日は朝7時から16時まで通しで営業しているので、ランチタイムをちょっと外してしまった時にも便利。落ち着く雰囲気に、つい長居してしまいそうです。

JOURNAL外観。天気の良い日は路上のテラス席でローカル気分も。
JOURNAL外観。天気の良い日は路上のテラス席でローカル気分も。
ある日の日替わりメニュー。ハッピーアワーはワインがお得。
ある日の日替わりメニュー。ハッピーアワーはワインがお得。
ジャーナル・エッグ AUD14。柔らかいオムレツ状の卵を渦巻き状に焼いてトーストの上にオン。クレームフレーシュ(発酵クリーム)とチャイブを添えて。パンのおいしさに驚く。
ジャーナル・エッグ AUD14。柔らかいオムレツ状の卵を渦巻き状に焼いてトーストの上にオン。クレームフレーシュ(発酵クリーム)とチャイブを添えて。パンのおいしさに驚く。
JOURNAL外観。天気の良い日は路上のテラス席でローカル気分も。
ある日の日替わりメニュー。ハッピーアワーはワインがお得。
ジャーナル・エッグ AUD14。柔らかいオムレツ状の卵を渦巻き状に焼いてトーストの上にオン。クレームフレーシュ(発酵クリーム)とチャイブを添えて。パンのおいしさに驚く。

JOURNALの並びにある〈Dukes Coffee Roasters(デュークス・コーヒー・ロースターズ)〉も人気カフェのひとつ。メルボルン市立図書館の隣にあり、学生たちがひっきりなしにコーヒーを買いに来ています。長い行列ができていることもありますが、店内が狭くほとんどがテイクアウトの客のため、すぐに順番が来るのでご安心を。

〈Dukes Coffee Roasters〉は、オーガニックスペシャリティコーヒー焙煎を専門とする会社が営むカフェ。サステナブルな方法で生産されるオーガニック・コーヒー豆のみを購入し、慎重に自家焙煎されて抽出されるコーヒーの味わい深さが印象的です。

〈Dukes Coffee Roasters〉外観。Only Organicのサインが目立つ。
〈Dukes Coffee Roasters〉外観。Only Organicのサインが目立つ。

フリンダーズ・レーンと交差する路地〈Degraves St.(デグレーヴィス・ストリート)〉は、両サイドがカフェとショップで埋め尽くされた、文字通りのカフェストリート。観光スポットとしても有名で、毎日多くの人で賑わっています。路地を埋め尽くすテラス席は圧巻。コーヒーをテイクアウトして、飲みながら路地裏散歩するのがおすすめです。

Degraves St.の路地はテラス席で埋め尽くされている。
Degraves St.の路地はテラス席で埋め尽くされている。
パラソルの下なら、多少の雨でもOK。
パラソルの下なら、多少の雨でもOK。
Degraves St.の路地はテラス席で埋め尽くされている。
パラソルの下なら、多少の雨でもOK。
  • 斎藤理子

    斎藤理子 さん (さいとう・りこ)

    フードジャーナリスト

    雑誌編集者を経てロンドンなど海外に長年住み、その間世界各国を食べ歩く。現在は国内外の生産者から三つ星シェフ、立ち飲みまで広く取材し執筆。著書に「イギリスを食べつくす」(主婦の友社)、「隣人たちのブリティッシュスタイル」(NHK出版)など。編著に『アル・ケッチァーノ』奥田政行シェフの連載をまとめた「田舎のリストランテ頑張る」(マガジンハウス)。2011年英国政府観光庁メディアアワード受賞。やまがた特命観光・つや姫大使。

協力
オーストラリア政府観光局  https://www.australia.com/ja-jp
ビクトリア州政府観光局  https://jp.visitmelbourne.com/

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