Netflixで公開された「We Are The World」の舞台裏。【高橋芳朗の暮らしのプレイリスト】
U.S.A.フォー・アフリカ 「We Are The World」
歴史的チャリティーソングのスリリングすぎる舞台裏。
アフリカの飢餓救済を目的として人気ミュージシャンが結集した伝説のチャリティーソング、U.S.A.フォー・アフリカの「We Are The World」。来年のリリース40周年を目前にして、歴史的プロジェクトの舞台裏に迫ったドキュメンタリー映画『ポップスが最高に輝いた夜』がNetflixにて公開されました。
「We Are The World」の録音が行われたのは1985年1月28日夜、ハリウッドのA&Mスタジオ。
作者のマイケル・ジャクソンやライオネル・リッチーなど45名ものスターが一堂に会してのレコーディングは、華やかな体裁に反して混沌としていました。なにせ、与えられた時間はたった一晩。
前代未聞の試みから生じる数々のトラブル、互いを牽制し合うアーティスト間の微妙な距離感も相まって、現場には見ている方まで居心地の悪さを覚えるような緊張感が漂います。
そんな修羅場を乗り越えることができたのは、プロデューサーを務めた巨匠クインシー・ジョーンズの経験と采配と胆力の賜物に他なりません。レコーディング開始前、彼がスタジオのドアに「エゴは入り口に預けてください」との貼り紙を掲げたエピソードはあまりにも有名です。
私はセッションの進行次第で爆発し得る45個の地雷を抱えていた、と当時の状況を回想するクインシー。『ポップスが最高に輝いた夜』は、ポップスにとって最高にスリリングだった夜の記録でもあるのです。
『クロワッサン』1116号より