10月の歌舞伎座は、彌十郎さんの黄門さまでほっこり。
撮影・文:クロワッサンオンライン編集部
物語の舞台は四国の讃岐。二代水戸藩主・水戸光圀公がお供の助さん格さんを引き連れ、金毘羅宮を訪れたところで事件が起こる。ドラマや映画でも人気の題材とあり、
「みなさんが持っているイメージの水戸黄門に近づけられればと思います。違和感のない水戸黄門を演じたい」と彌十郎さん。
自身も子どもの頃から月形龍之介さんや東野英治郎さんなどの黄門様を観て親しんできた。父の坂東好太郎さんが演じたこともあり、縁を感じると語る。
「お客さまには、ほっこりして、ご覧いただいたあとにはにこやかに帰っていただきたいと思います」
従者のふたり、助三郎は中村福之助さん(25)、格之進は中村歌之助さん(22)兄弟。
「小さいときから知っているおふたりが出てくれるのは安心。ずっとむねちゃん、よっちゃんと呼んでいましたから、福之助さん歌之助さんと言うのは不思議な感じがしますけど」。
ふたりの配役が決まったとき、3人で鏡の前に立って並びのバランスを確認したそう。
「僕がいちばん背が高いんですよね」彌十郎さんの身長は183センチで、歌舞伎界でいちばん身長がある。「そういう意味では、僕は世界最高の歌舞伎役者(笑)」
そんなスマートな彌十郎さん、昨年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で野心と枯れない色気いっぱいの<時政パパ>で人気を博した。「新作歌舞伎ファイナルファンタジーX」にも出演するなど、新たなファンを着実に増やしている。
「そういう新しいお客さまが『あの彌十郎の芝居なら観に行くかな』と、足を運んでくださったらありがたいですね」
歌舞伎座新開場十周年「錦秋十月歌舞伎」10月2日から25日まで。
「水戸黄門 讃岐漫遊篇」は夜の部の第三幕。