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日本のシティポップを愛する西海岸の鬼才、ジンジャー・ルートによる、ユニークなミュージックビデオ【高橋芳朗の暮らしのプレイリスト】

日本のシティポップを愛するアメリカ西海岸の若き奇才。

日本のシティポップを愛するカリフォルニアのシンガーソングライター、ジンジャー・ルートが1月に初の来日コンサートを開催。東名阪での4公演すべて即日完売する盛況ぶりでした。

「生姜の根」を意味するジンジャー・ルートの正体は中国系アメリカ人の27歳、キャメロン・ルー。

高校生のころイエロー・マジック・オーケストラのライブ映像に衝撃を受けて日本のポップスに傾倒していった彼は、その後コロナ禍のロックダウン期間を利用して日本語の学習を開始。それに伴い日本文化への造詣を深めていきました。

そんなキャメロンが日本のポップカルチャーへの憧憬を強烈に打ち出したのが、昨年6月リリースのシングル「Loneliness」。1980年代の山下達郎作品を彷彿させるサウンドの痛快さもさることながら、なんといっても極めつけはストーリー仕立てのミュージックビデオでしょう。

時代設定は1983年。架空のアイドル竹口希美子をめぐる内容からは、キャメロンがいかに日本のポップスを研究しているかがよくわかるはず。クライマックスには松田聖子が羽田空港で「青い珊瑚礁」を歌った『ザ・ベストテン』の伝説の中継のオマージュまで登場します。

日本のシティポップが世界規模で脚光を浴びてから約5年。その影響が今後どんなかたちで花開くのか、キャメロンの活躍で俄然楽しみになってきました。

「Loneliness」収録のGi nger RootのEP『Nise mono』。「Kimiko!」「Ho ly Hell」ほか、全6曲。
「Loneliness」収録のGi nger RootのEP『Nise mono』。「Kimiko!」「Ho ly Hell」ほか、全6曲。
  • 高橋芳朗 さん (たかはし・よしあき)

    音楽ジャーナリスト

    著書に『ディス・イズ・アメリカ「トランプ時代」のポップミュージック』(スモール出版)など。

『クロワッサン』1088号より

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