いま世界でホットな日本人シンガーソングライター、リナ・サワヤマが「生きづらい世の中」で支持される理由。【高橋芳朗の暮らしのプレイリスト】
こんな地獄もあなたと一緒ならば悪くない。
本誌が店頭に並ぶころには初の単独来日公演を終えているはずのリナ・サワヤマ。
ロンドンに拠点を置く日本人シンガーソングライターの彼女は、いま世界で最もホットなポップスターのひとりです。昨年9月に発表したアルバム『Hold The Girl』は全英チャートで日本人アーティスト史上最高位の3位にランクインする快挙を達成しました。
2018年にバイセクシュアルであることをカミングアウトしているリナは、LGBTQコミュニティへの支援を熱心に行っていることでも知られています。血縁/法的関係にこだわらない家族形態を題材にした2020年の「Chosen Family」では、カミングアウトしたことによって実の家族や友人から疎外されてしまった性的マイノリティ同士のつながりを祝福。このメッセージに共鳴したエルトン・ジョンとのデュエット版も話題を集めました。
こうしたリナの活動は『Hold The Girl』から生まれた最新ヒット、軽快なアップテンポの「This Hell」でも強く打ち出されています。
周囲の無理解によって孤立した性的マイノリティに向けて「こんな地獄もあなたと一緒ならば悪くない。お互い気持ちは同じ。一緒に燃え上がろうよ」と呼びかける彼女の優しさ、頼もしさ、そして心意気。このとことん真摯に寄り添う姿勢こそが「生きづらい世の中」でリナが熱烈に支持されている理由なのかもしれません。
『クロワッサン』1081号より