戦国時代に詳しくなる!?│山口恵以子「アプリ蟻地獄」
イラストレーション・勝田 文
読んで字の如く、戦国時代の武将・合戦・旧国名を当てるクイズ。初級から中級、上級と難しくなる。
歴女なら朝飯前だろうが、私は戦国時代に特別な興味はないので、中級編以降は苦戦するかと思ったが、意外や意外、結構上級編も正解する。今は合戦の名前当てに挑戦中。
どうしてこんなに当たるのか自分でも不思議だったが、答はNHKの大河ドラマにあった。私は二十年くらい前まで大河ドラマを毎週観ていたが、あれは戦国時代が舞台の話が多かった。観ているうちに、情報が蓄積されたらしい。
「小牧・長久手(ながくて)の戦い」とか「三方ヶ原(みかたがはら)の戦い」とか、言葉がインプットされている。ドラマの力ってすごいわ。
我家はケーブルTVの契約をしているので、海外の歴史ドラマが観られる。私が注目しているのはストーリーそのものより、当時を再現した衣装、美術(家具調度品)、街並のセット。「ダウントン・アビー」は話はつまらなかったが衣装と美術は最高だった。スレイマン一世と寵姫ヒュッレムを主人公にした「オスマン帝国外伝」は期待していたが、女性の衣装にガッカリした。明らかに当時存在していない生地が使われていたり、デザインが今風だったり。その点、英国歴史ドラマは時代考証が丁寧で安心して観ていられる。
話は変るが、日本人で大河ドラマを本物の歴史と思う人はいない。でも世界には歴史ドラマを本物の歴史と思っちゃう人もいるらしい。相手が外国人だったらどうしようもないけど、厄介な話だと思う。
山口恵以子(やまぐち・えいこ)●作家。近著に『夜の塩』(徳間書店)。
『クロワッサン』1010号より
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