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【カンニング竹山さん×元村有希子さん 対談】福岡という街の魅力【2】

そもそも人はなぜ福岡が好きなのか。
福岡市、北九州市で生まれた2人が改めて考える、その“愛され力”とは。

撮影・MEGUMI ヘア&メイク・今村早由里(ヘアメイク特攻隊/元村さん) 文・平井莉生

若い頃は良さがわからなかった福岡が、今は大好きですね。(竹山さん)

出身地を答える時、小鼻が膨らみませんか?(元村さん)

(左)元村有希子さん 新聞記者 (右)カンニング竹山さん お笑い芸人
(左)元村有希子さん 新聞記者 (右)カンニング竹山さん お笑い芸人

図らずも共にチェックの衣装に身を包んだ福岡出身の2人は、この日初対面。それぞれお気に入りの福岡の銘酒を片手に、ソウルフードをつまみつつ、福岡談議に花が咲いた。

元村有希子さん(以下、元村) 竹山さんは、いつまで福岡にいらっしゃったんですか。
カンニング竹山さん(以下、竹山) 僕は福岡市城南区で育って19歳の時に上京しました。

元村 何がきっかけで?

竹山 小学校くらいからずっと東京への憧れがあって「早く東京に住みたい」って思っていました。芸人になりたい気持ちもあったけれど周りには言っていなくて、親からは「東京に行きたいなら六大学へ」と言われて大学進学を目指していました。早く東京に行きたかったのに、結果、福岡で1年浪人することになってしまって……。そうしたらちょうどその年に吉本興業が福岡にやってきて、オーディションを開催したんです。「やるだけやってみよう」ということで浪人仲間と一緒にオーディションを受けたら、運良くトントン拍子に優勝。ちなみに、その時の特別賞が博多華丸・大吉です。

元村 同期だったんですね。

竹山 でも僕らはまだ仕事の大切さもわかっていないような若造で、いろいろあってクビになり、それをきっかけに僕は上京することにしました。でもその時は正直、福岡から出られてせいせいしていましたね。福岡しか知らないから良さもわからなかった。東京への憧れから「こんな田舎で芸能なんてやっていられない」と勝手に思っていたんです。

元村 芸能界には福岡出身の人が多いと言われますが、実際多いんですか。

竹山 多いと思いますね。陣内孝則さんをリーダーに、芸能界福岡県人会というのをやっているんですよ。芸能人を多く輩出しているのは、福岡には博多弁で言うところの「ノボせもんが多い」っていうのがひとつの理由だと思います。

元村 「ノボせもん」ね! 確かにそうかもしれません。おっちょこちょいっていうか、調子に乗りやすい。ちょっと褒められたら「そげん?」って、すぐ図に乗ってしまう。自分、けっこういけるんじゃない!?って思っちゃうというか……。

竹山 あとは小規模でもメディアや音楽、お芝居といった芸能にまつわるものもあるのでその影響はありそうです。

元村 劇団四季、歌舞伎の常設劇場があったり、直接接触できる場所が多いですよね。あとは相撲も来れば、野球もサッカーもある。福岡で充足しますね。

竹山 そうなんですよ。お笑いに特化している大阪ともまた違って、女優さんになりたい子も、歌手になりたい子も、総合的にいる印象です。

元村 私は18歳まで北九州市で育って、大学から福岡市に住みました。卒業して毎日新聞の西部本社(北九州市)と下関支局で勤務し、3番目の勤務地が福岡市でした。そこで7年間働いて、31歳で初上京。そうだ、初めて行ったコンサートが、RCサクセションの福岡市民会館での公演でした。高校2年の時に母同伴で。

竹山 そのRCはうちの兄貴も行ってますね! 覚えてます。

元村 私は、東京は怖い場所というイメージがあって出て行くつもりはなかったんですよね。福岡もそこそこ都会だし、人柄も知れているしちょうどよくって。

元村さんが名刺代わりに持参した北九州土産。練乳たっぷり『シロヤベーカリー』のサニーパン(左)は、市民の定番おやつ。鰯の糠みそ炊き、じんだ煮(右)は糠のコクが独特の深い味で、お酒、温かいご飯とも合う。
元村さんが名刺代わりに持参した北九州土産。練乳たっぷり『シロヤベーカリー』のサニーパン(左)は、市民の定番おやつ。鰯の糠みそ炊き、じんだ煮(右)は糠のコクが独特の深い味で、お酒、温かいご飯とも合う。

博多華丸・大吉の言葉で、福岡への想いが変わった。

元村 竹山さんの福岡への想いが変わったのは、いつ頃だったんですか。

竹山 僕は福岡への恨みというか、勝手に博多華丸・大吉と闘っているような思いがあったんです。30歳くらいから東京での仕事がうまくいきだして、ある時、福岡でロケがあった。彼らはまだ東京に出てきていない時で、一緒に飲もうということになったんですよ。その時、僕は天狗になってたんでしょうね。「まだ福岡で何やってんだ」という上から目線で会ってるわけです。僕は『めちゃ2イケてるッ!』という番組で全国区にしてもらったんだけれど、それを彼らが福岡よしもとの連中と一緒に正座して見ていてくれたと教えてくれて。「みんなでター坊のこと応援してたんだよ」って言ってくれたんです。それを聞いて僕、憑き物が落ちたみたいにボロボロ泣きましたね。

元村 そんなことがあったんですね。良い話です。

竹山 その頃から気持ちが変わりました。地元に貢献できていなくて申し訳ないなという思いさえ持つようになりましたね。

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