五感を刺激しつつ、安らげる。佐伯チズさんの、帰りたくなる家。
撮影・三東サイ 文・板倉ミキコ
パワースポットみたいな場所だ、とよく言われるんです。
海が見える高層マンションの一室。玄関から続く照明を落とした仄暗い廊下を進むと、その先のリビングで視界が一気に明るくなる。陰影と光の切り替わりに、誰もがウワーと歓声をあげたくなる開放感が。美容家・佐伯チズさんの自宅は、リビング横に美容サロンスペースも設えているのが特徴的だ。
「ここに来たら心からくつろぎ、キレイになって帰っていただきたいんです。廊下からリビングの視界の変化は、日常から非日常に切り替わる演出にもなっています。トンネルみたいな廊下を抜け、窓からの景色を見ると、皆さん気持ちも明るくなるみたいですよ」
リビングは顧客が施術前後にくつろぐスペースでもある。お香の香りや水の音を奏でるオブジェなどで演出し、リラックスできる仕掛けが随所に。
「佐伯さんの家はパワースポットみたい、とよく言われるんですが、大切にしているのは五感をフル活用できる空間にすること。人は見たもの、感じたもので作られるのだと思います」
この家に越してきたのは19年前。モダンなイメージだった空間を、安らげる場所に少しずつリフォーム。カーペット敷きのリビングは天然木のフローリングに替え、琉球畳を敷いた小上がりも作った。壁一面の窓の一角は障子に替え、柔らかな光を生み出す。
「少しずつ自分好みに変えていって、完成したのが8年ほど前です」
リビングで印象的なのが、6人掛けの大きなダイニングテーブル。佐伯さんが催す“チズ飯会”で大活躍している。
「お客様を招いて、体に良い美味しいものをたっぷり食べていただくのを見るのが大好きなんです」
人をもてなす場所であり、自分自身もリラックスできる空間を兼ね備えているのが佐伯さんのリビング。
「住まいは心の拠り所ですから、帰りたくなる場所であるかどうかが大事なんです。後は本当に自分の好きなもの、心地よく感じるものだけを選ぶこと」
大好きなスターの写真、幼い頃の記憶と繋がる品、大切な人からいただいた絵画など、ひとつひとつは異なるテイストでも、不思議と調和を保ち、心地よい雰囲気を生んでいる。
「好きなものは好き、それでいいんです。これからもこの安らげる場所で、人をもてなし続けたいですね」
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