Vol.35 胃の痛みが続いています。【40歳からのからだ塾WEB版】
治療の目的は、QOLが低下しないように
症状を和らげること
FDは命に関わることはありませんが、つらい症状によって生活の質(QOL)が下がります。困っているなら、内科や消化器内科を受診して、治療を受けましょう。
治療は薬物療法がメインとなり、胃液を抑える薬や胃腸の働きをよくする薬が使われます。患者の訴えにより、漢方薬(六君子湯など)や抗不安薬を使うこともあるそうです。また、選択肢の1つとして、市販薬にもFDの症状を楽にしてくれるものがあります。薬剤師さんに相談してみましょう。
「機能性ディスペプシア」は治るの?
FDの一般的な経過としては、よくなったり悪くなったりを繰り返すのだそうです。「根治を目指すというよりは、うまく付き合っていく病気と捉えると対処もしやすいでしょう」と稲森さん。
食事内容や生活習慣が関係していることも多く、薬だけではよくならないことも。
「診察時には、食事日記をつけましょうとアドバイスすることも多いですね。日記をつけることで、胃の調子が悪くなる食材や食べ方、自分が苦手な食材などが明確になります。そして、それらを控えめにすることで、不快な症状をコントロールできるようになることもよくあります」(稲森さん)。
関連する生活習慣については、下の図もチェックしてみてくださいね。
機能性ディスペプシア(FD)症状に関係する生活習慣

出典:機能性消化管疾患診療ガイドライン2014
(日本消化器学会)
喫煙、アルコール、睡眠なども関係しています。胃酸分泌はFDの主な原因の一つ。胃が不調なときは、胃酸の分泌を増やすアルコールや脂肪分の多い食事を控えめに。よい睡眠をとり、疲れやストレスをためないことも大切なのですね。
最後に、「40代以降の方で胃の症状がある場合、胃がんの可能性はゼロではないので、不快な症状が続いていたら、1度は医療機関で内視鏡検査を受けておくとよいでしょう。ピロリ菌検査も受けておきたいですね」とのアドバスが。加えて「お酒をよく飲む方で胃が痛い人は膵炎のチェックを。油っぽい食事をすると胃が痛くなる人は、胆石の検査をしておくとよいと思います」(稲森さん)
いつまでも美味しいものを食べられるように、働きものの「胃」を、いたわってあげましょう。みなさまもお大事に。
ご協力いただいた医師
いなもり・まさひこ●横浜市立大学附属病院に胸やけ外来を開設。胃食道逆流症、逆流性食道炎の診断・治療・研究に力を注いできた「胸やけ」診療のエキスパート。
※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。
更年期、まっただ中のライター。最近、ちょっと休んだぐらいでは疲れが抜けなくなってきて、以前よりもカラダのメンテが欠かせなくなったと実感。とはいえ、カラダの変化をポジティブに捉え、同年代の女性の健康に役立つさまざまな情報をお伝えしていきたいと思っています。ただいま、ヨガやマインドフルネスを実践中。ホルモン補充療法も試してみたい!
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