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更年期以降に心掛けたい、血管老化を防ぐ生活習慣

加齢とともに急上昇する3つの値──コレステロール、血圧、血糖値。放っておくと心臓病や脳卒中などのリスクも高まる。医学博士で生活習慣病予防の研究を行う野口緑さんに、正常に保つための対策を教わった。

イラストレーション・小林マキ 文・保手濱奈美

食事

体に必須でも、要注意の食品類がある。摂取の上限を決めれば健やかに

更年期以降に上がりがちな数値を抑えるには、食事に気をつけることが第一。

「まずは、コレステロールやその合成材料となる飽和脂肪酸を多く含んだ食品の摂取量の上限を決めること。卵は、LDLコレステロールが高い人は1日200mgまで。個数でいうと1個です。乳製品も1日200gまで。肉と魚はそれぞれ1日50~100gまで。ただ、グラム数を考えながら食事をするのは大変なので、例えば、朝に牛乳をコップ1杯飲んだら、その日の乳製品は終了。昼に魚を食べたら夜は肉、と消去法でおおまかに振り分けるといいでしょう。高血圧対策には、塩分を1日6gまでに留めること。糖質が気になる白米は、一方で食物繊維が摂れる優秀食品。1食100g(小ぶりの茶碗に1杯)を3食摂るのが理想です」と話すのは、生活習慣病予防のスペシャリスト、野口緑さん。

そのほかの食品もバランスよく摂ることが、健康な血管づくりには大切。

「野菜やキノコ類など、左イラストの量を目安に、日々の食事に取り入れましょう」

1. 5つの食品は摂取上限を決める
1. 5つの食品は摂取上限を決める
2. ご飯は小ぶりの茶碗に毎食1杯
2. ご飯は小ぶりの茶碗に毎食1杯
3. 野菜は毎食、両手1杯分を目安に
3. 野菜は毎食、両手1杯分を目安に
4. キノコ、海藻、イモ、果物は1日1回食べる
4. キノコ、海藻、イモ、果物は1日1回食べる

運動

内臓脂肪は簡単な運動で燃焼可能。日々の積み重ねが何より大事

高血圧や高血糖を引き起こす内臓脂肪。実は、簡単になくすことができるそう。

「内臓脂肪は溜まりやすい反面、エネルギー源として消費される中性脂肪なので、運動をすればなくなります。しかも、ハードな筋トレなどは必要なく、ウォーキング程度で充分。その際のポイントは、歩数ではなく速度。スーパーへ行くにも早歩きをしましょう。途中、エスカレーターがあっても階段を使うと、筋肉に負荷がかかり、脂肪の燃焼を促せます。また、全力で掃除をするのもおすすめ。汗ばんできたら活動量が上がったサイン。大切なのはこうした日々の積み重ねです」

ちなみに、運動はLDLコレステロールを下げることには繋がらないという。

「LDLコレステロールは脂肪の仲間ですが、中性脂肪と違って運動で燃やせるものではありません。ただ、糖質や脂肪からコレステロールを合成する経路があることを考えると、運動でそれらを消費する努力は必要です」

1. 歩くときは常に早足で
1. 歩くときは常に早足で
2. 掃除は張り切って全力で行う
2. 掃除は張り切って全力で行う
3. できるだけ階段を使う
3. できるだけ階段を使う

すでに数値が気になる人は…

更年期以降に心掛けたい、血管老化を防ぐ生活習慣

LDLコレステロール[140mg/dL以上]になったら注意!
   ↓
■無脂肪の乳製品を選ぶ。
■骨粗鬆症予防といって小魚を食べすぎない。
■鶏肉だからと油断は禁物。

コレステロールや飽和脂肪酸の多い食品を摂りすぎていないかチェック
LDLコレステロールが140mg/dLを超えたら、日頃の食事内容の見直しを。「とくに動物性脂肪に要注目。乳製品は無脂肪や低脂肪のものを選ぶなど、飽和脂肪酸の摂取を減らすよう意識して。また、鶏肉のなかでもレバーはコレステロール量が多いので、控えめに。しらす干しなど小魚も、コレステロール値を上げるので、摂りすぎに注意」

目標値
LDLコレステロール[120mg/dL]

血圧[130/85mmHg以上]
血糖値[空腹時血糖値 110mg/dL以上 HbA1c 6.0%以上]になったら注意!
   ↓
■毎日30分は体を動かす。
■寝る前と起床時(排泄後)、毎日体重を量る。
■糖質の高い飲食物を控える。

運動と食事の双方からの対策で、内臓脂肪を減らす努力をすること
血圧と血糖値を下げるには、内臓脂肪を減らすことが有効で、それには運動が一番。「早歩きなどの運動を、毎日30分行いましょう。体重を量るとその成果がわかります。夜と翌朝では、就寝中の燃焼で朝のほうが体重は減っているはずなので、そのまま1日維持するモチベーションに。甘いものなど、糖質過多の飲食物を控えることも大事」

目標値
血圧[120/80mmHg]空腹時血糖値[100mg/dL HbA1c 5.5%]

  • 野口 緑

    野口 緑 さん (のぐち・みどり)

    大阪大学特任准教授

    医学博士。生活習慣病予防の研究を行う。著書に『健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと』(日経BP)がある。

『クロワッサン』1152号より

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