アナウンサー堀井美香さんのお悩み相談室。「明日休みます」と言ってみよう
撮影・MEGUMI スタイリング・片山沙織 ヘア&メイク・美樹 文・保手濱奈美 撮影協力・月島長屋
クロワッサン読者と同世代のフリーアナウンサー・堀井美香さん。今回、読者から“休めない”ことについての悩みを募ったが、昭和世代がなかなか「休みたい」と言い出せない背景を、自身の経験も踏まえてこう話す。
「私たちの世代は、人に頼らず、自分の力でやり遂げることがよしとされてきましたよね。だから、休んではダメ、人に迷惑がかかってしまうという思い込みがある。でも、今は休むことが悪という時代ではないし、自分一人が休んでも、代わりを務めてくれる人は案外ほかにもいるものですよ」
“休む”とは、仕事からも家庭からも離れて、素の自分でいられる時間を確保することだと、堀井さんは言う。
「そういう時間は誰にとっても必要です。もう休むことを、仕事と思ってほしいくらい(笑)。でも、私たちの世代は気づくと働き詰めになっているので、『この時間は休む!』とスケジュール帳に書いておいたり、休みを宣言したりしたほうがいいと思います。そんなふうに、休みを取ることをがんばってみてもらいたいです」
家族のために休むと宣言しましょう
悩み
年老いた母や子どもから用事を言われると、自分を後回しにして用事を優先してしまいます。介護サービスを頼ることも考えましたが、「他人に頼るのは母に申し訳ない」と思ってしまい、自分でやってしまいます。せめて休日はまとまった自分の時間が欲しいのですが、上手に家族に伝える方法がわかりません。(50代・主婦)
堀井さんならこう伝える
「あなたたちのために、明日は定休日にします」
「お土産買ってくるからね」
お母さまに申し訳ないと思ってしまう気持ちもわかります。でも、介護はプロに任せたほうが安心と聞きますよ。“餅は餅屋”です。人の手を借り、時には息抜きに出かけることで、家族との時間をより大事にできるはず。「あなたたちのために明日休むからね」と宣言し、おやつをお土産にすれば家族もハッピーなのでは。
同じ思いの人を探し、チームで交渉するんです
悩み
定期的に町内会での清掃活動があります。参加は強制ではないと言われたものの、とにかく欠席できない空気感です。参加しなければ、村八分になる気もします。この会がここに住んでいる限り続くと思うと気が重いです。(50代・パート)
堀井さんならこう伝える
「当番制にしてはどうでしょう?」
おそらく町内会には、相談者の方と同じ思いの人がいるのではないでしょうか。大勢に対して一人では声がかき消されやすいので、仲間を見つけて折衷案を交渉してみるのがおすすめです。定期的に毎回参加しなければいけないのがつらいなら、当番制を提案するなど、仲間と一緒に既成のルールに風穴を開けて!
次に会える目処を立てたら、相手も安心します
悩み
誘いを断ることも苦手で、プライベートで予定を詰めすぎてしまいます。口約束したときは本気ですが、その日が迫ってくるとすごく億劫になることがよくあります。断ったらもう誘われないかと不安になり、無理をして行ってしまいます。上手な断り方があれば教えてほしいです。(50代・会社員)
堀井さんならこう伝える
「仕事が立て込んで忙しいの。でも、11月からは大丈夫」
誰しもバイオリズムはあるので、気が乗らないこともありますよね……。約束したものは行くとして、先の予定を断りたいときは、例えば「仕事が立て込んでいる」など、優しい嘘も時には利用。会えない事情と、体が空く目安を伝えてみて。具体的なことがわかれば「それならまた改めて」と、相手も理解してくれるはず。
迷惑と思っているのは意外と自分だけですよ
悩み
職場で休みが取りづらいです。周りも私的な理由で休む人が少なく、体調が悪いときでも、周りに迷惑がかかるのでは?と遠慮してしまいます。また、休日も電話やメールがあればすぐに返事をしてしまいます。どうやったらうまく休めますか?(40代・会社員)
堀井さんならこう伝える
「(正々堂々と)有休を取ります!」
言い出しにくい風土があるのだと思いますが、やはり有休は正当な権利。むしろ堂々と「有休を取ります!」と言っていいと思います。休み中は、メールを不在通知にするのも一手。「自分がいないと大変」と思うのは独りよがりで、人に任せると実はうまいことやってくれます。「迷惑をかける」なんて思わなくて大丈夫。
“代わってもらう”とは、相手にバトンを渡すこと
悩み
「人に迷惑をかけたくない」意識が強い昭和世代の私。何につけ、人に代わってもらうのが苦手です。説明する手間や面倒くささを考えると自分でやったほうがいいと思いがちで、結果キャパオーバー。若い頃はそれで回っていた気がするけれど、圧倒的に処理能力が落ちていることを実感します。(50代・管理職)
堀井さんならこう伝える
「あなたならできると思うから」
同じ“代わってもらう”でも、世代によって意味合いが違うと思います。若い人たちなら「まずは自分でやってみなさいよ」という感じですが、私たちの場合は、相手にバトンを渡すことを意味するんです。相手を信じて任せるほうが、むしろ思いやり。代わりにやってもらうことが増える近い将来の練習にもなりますよ。
夫の雑さも多様性。許す心を持ちましょう
悩み
几帳面で完璧主義な性格で、家にいると常に何かが気になり、つい動いてしまいます。昔、夫のやった家事が気になって、私がやり直したのが癪にさわったのか、最近は手伝ってもくれません。24時間365日家事に追われて疲労が溜まります。今さら夫に手伝ってとも言いづらく……。(50代・主婦)
堀井さんならこう伝える
「一緒に登山に行ってみない?」
几帳面ってとてもいいことだと思います。でも、それを人に押し付けるのはよくありません。もしも再び夫が家事をやってくれたら、ちょっと雑でも認めること。「これも多様性」とおおらかに。あとは、いっそ登山をするとか! 大自然に身を任せると、自分の完璧主義がちっぽけに思えて夫の雑さが許容できるかも!?
『クロワッサン』1149号より
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