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反り腰、巻き肩、スマホ首…姿勢の3大悩みの原因と対策。まずは全身の歪みをチェック。

スポーツドクターで整形外科医の中村格子さんとパーソナルトレーナーのKAORUさんに話を聞きました。

イラストレーション・小林マキ 文・小沢緑子

痛い、動きづらい……。姿勢の3大悩みの原因と対策。

反り腰、巻き肩、スマホ首…姿勢の3大悩みの原因と対策。まずは全身の歪みをチェック。

現代の生活習慣、日本人の内向き動作も影響。

「反り腰、巻き肩、スマホ首の原因はすべてアライメント(骨格の並び)の崩れ、すなわち姿勢の悪さから始まります。現代のパソコンやスマホを多用する生活も大いに関係しています」とは、スポーツドクターでもある整形外科医の中村格子さん。

姿勢アナリストとしても多くの女性の体と向き合うパーソナルトレーナーのKAORUさんも、やはり姿勢と生活習慣が問題という。

「ある程度の年齢になると、姿勢はその人の “今まで生きてきた人生が映し出される履歴書”のようなもの。もともと日本人は昔から正座やお辞儀など体を内側に曲げる“内向き”の動作が多いですし、家事でも仕事でも日常生活では体の前側を使う作業がほとんど。極端な前かがみ姿勢がクセにならないよう、日頃から気をつける必要があると思います」

反り腰、巻き肩、スマホ首…姿勢の3大悩みの原因と対策。まずは全身の歪みをチェック。

加齢による筋肉量低下も食い止めるべき。

もうひとつ、“加齢”も大きな原因。

「筋肉の量は20代から低下しますが、40代以降は特に体幹部が落ちやすくなります。体幹部は体を支える役割があるため、筋肉量が減れば必然的に姿勢が崩れます」(中村さん)

一般的に筋肉量は1年で0.5%ずつ低下するといわれているというが、「たとえば20歳のときと比べると、20年経過した40歳では筋肉量は合計10%減る計算に。40代以降、女性は体脂肪率を28%以下に保つのが目標ですが、一見太っては見えないのに筋肉量だけ減って体脂肪率が30%を超える隠れ肥満になる人も多い。体脂肪率が高いとさまざまな疾病を招く原因にもなりますし、理想の姿勢を保つためにもストレッチやウォーキング程度でもいいので、運動をする習慣をつけて筋肉量の低下を抑えてほしいと思います」。

反り腰、巻き肩、スマホ首…姿勢の3大悩みの原因と対策。まずは全身の歪みをチェック。

放置するのは厳禁。 健康、美容にもマイナス。

反り腰、巻き肩、スマホ首それぞれを放っておくと、健康、美容面にどんな悪影響が?

「どれもコリや痛みが出ている部位周辺の筋肉が硬く縮んで萎縮している状態。血流が滞ることで肌のツヤや表情まですぐれなくなりますし、何より体が動かしづらく、リカバリーしにくい疲れやすい体になりかねません」(KAORUさん)

さらに、さまざまな不調やトラブルを招く原因にもなる。

「姿勢の悪さから内臓が圧迫されれば消化不良や胃もたれに、横隔膜が圧迫されれば逆流性食道炎などの内臓トラブルも起きやすくなります。また、悪化すれば、反り腰なら腰椎すべり症など、医療機関での診断や治療が必要な症状に発展することがあるので注意が必要です」(中村さん)

全身の歪みをチェック! 正しい姿勢を知る。

反り腰、巻き肩、スマホ首それぞれの対処法を行う前に、姿勢の見直しからスタート。

「一番わかりやすいのは寝姿勢でのチェック(下イラスト)。仰向けに寝たときに、首、腰、ひざ、足首と床の間にすき間があること。そして肩甲骨、もも裏、ふくらはぎがペタッとしっかり床についていれば体に歪みが少ないと思っていいでしょう」(中村さん)

寝姿勢で体の歪みをチェック。
寝姿勢で体の歪みをチェック。

(1)首と床の間に空間がある。

(2)肩甲骨が床についている。

(3)腰と床の間に空間がある。

(4)もも裏が床についている。

(5)ひざ裏と床の間に空間がある。

(6)ふくらはぎが床についている。

(7)アキレス腱と床の間に空間がある。

理想の立ち姿勢は、下のイラストを参考に。

「人間の上半身は、大まかにいうと骨盤、胸部、頭部の3つのボールが背骨の真ん中、体の軸上に垂直に積み上げられているイメージです。この骨格の並びがまっすぐでない場合、体のどこかに歪みがあります」

理想的な立ち姿勢
理想的な立ち姿勢

右・(側面)

横から見たときに、体の5カ所(1〜5)を結んだ線が一直線になるのが正しい立ち姿。腰が反ってしまうのが反り腰、前かがみになるのが巻き肩、頭が前に出てしまうのがスマホ首。

左・(正面)

頭から足まで体の中心を縦につなぐとまっすぐのラインになっている。このラインが曲がっていると左右のバランスが悪い状態なのでNG。

肩、骨盤の高さが左右対称になっている。この高さが左右で違うと左右非対称に歪んでいたり、前後にねじれている可能性があるのでNG。

簡単リセット!

自分史上最高の座高

「良い姿勢を体感し意識づけするためにも、一日10〜20秒〝自分史上最高の座高〟を作って。背筋を目いっ…

「良い姿勢を体感し意識づけするためにも、一日10〜20秒〝自分史上最高の座高〟を作って。背筋を目いっぱい伸ばしてお腹を引っ込める必要があるので軽い体操にも」(中村さん)

手先足先ぶらぶら体操

「手足の末端は体のほかの関節につながっているので、指先を伸ばして両腕、両脚を自由に振って。それだけで…

「手足の末端は体のほかの関節につながっているので、指先を伸ばして両腕、両脚を自由に振って。それだけでもコリがほぐれてスッキリ、背筋も伸びます」(KAORUさん)

  • 中村格子

    中村格子 さん (なかむら・かくこ)

    整形外科医

    「Dr.KAKUKO スポーツクリニック」院長。多くのアスリートを支える。監修本『硬い体をほぐす かんたんストレッチ』ほか著書多数。

  • KAORU

    KAORU さん (かおる)

    パーソナルトレーナー、 姿勢アナリスト

    「STUDIO Apro」主宰。女優やモデルも信頼を寄せる姿勢分析を基本にした独自メソッドで人気。「姿勢アナリスト(R)」資格講座を開講し、後進も育成中。

『クロワッサン』1110号より

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