ピントが合いづらくなるお年頃。あなどるなかれ、目の疲れ
イラストレーション・浅妻健司 文・野尻和代
長時間スマホやパソコンなどを見続けて、目がしょぼしょぼ。そのまま目を使い続けると、頭がズキズキと痛み、首や肩も凝ってバキバキ状態……。程度の差こそあれ、それらは眼精疲労の症状であり、現代のライフスタイルでは多くの人が悩まされている、と眼科外科医の佐藤香さんは語る。
「人はレンズの役割をする水晶体という組織を通してものを見ています。その周りを毛様体筋という薄い膜の筋肉が囲んでいて、伸び縮みしながら水晶体の厚さを変えてピントを調節しているんです。近くを見るとき、毛様体筋は収縮するのですが、その状態が長く続くと筋肉は疲弊してしまいます。さらに、一般的に45歳を過ぎると加齢とともに水晶体が硬くなってくるので、ピント調節機能が低下し、手元がぼやけるなどの症状が現れます。いわゆる老眼ですが、この状態でメガネも作らず頑張って見ようとすることも、目を疲れさせてしまう大きな要因になるのです」
では、目の疲れが頭痛や首・肩のコリなど全身症状につながるのはなぜなのか?
「目の動きは、眼球周りの眼輪筋から前頭筋、頭頂腱膜を通じて、顔の角度や向きを微調整する首の奥の後頭下筋群まで連動しており、姿勢などにも影響します。目を使いすぎると、必然的に首や肩の筋肉も疲れやすくなり、頭痛を引き起こすことにもなってしまうのです。また、目を酷使することで、交感神経が優位になりやすいということもある。近くを長時間見る生活では、その状態が常に続くことになり、自律神経のバランスが崩れがちに。全身の筋肉が緊張して、コリや疲れが取れにくくなるのです。原因不明の体の不調は、実は眼精疲労だったというケースもけっこうあるんです」
もはやあなどれない眼精疲労を予防するには、やはり近くを見る時間を減らすことが有効。とはいえ、スマホやパソコンが生活必需品となっている今、ストイックになりきれないのが現実だ。そこで佐藤さんが提案するのは、目にやさしい環境の整え方や、日々のケアで目の疲れを緩める方法。
「目は非常にデリケートな場所なので、筋肉を鍛えるというより、いたわる、緩めるを意識することが大切。四六時中使っているからこそ、できるだけ目に負担をかけない環境を作り、こまめに休めながら、疲れをためないようにしてください」
目のコリを予防する方法
環境を改善
「近くを見る時はできるだけ目にやさしい環境を整えてほしい」と佐藤さん。スマホは40cmくらいは距離をあけること。そして、パソコンやテレビを含むモニターは、部屋の明るさとモニターの明るさを合わせることも大事だという。
「明暗差が激しいと、瞳孔の調節機能がフル稼働し疲労の原因に。モニター位置も視線がやや斜め下に向く高さにすると、自然に見ることができます。また、ドライアイを引き起こす乾燥も大敵。室内はしっかり加湿しましょう」
読書の際も、例えば卓上で加湿器をつけるなど目の近くの空気を加湿して、目が乾燥しないように気をつけて。
マッサージ&温め
目の酷使でまぶたを開閉する眼輪筋にも負担が。まばたきの回数が減るとドライアイが進行し、かすみ目、疲れに直結。マッサージや温めで血行促進するのが有効だ。
「目の周りの皮膚は薄いので、アイクリームなどを使ってやさしくケアを。眼球は押さないこと」
目の周りの眼輪筋は、まばたきなどに使う表情筋。ほぐすときは内側から外側へなぞるようにケア。
繰り返し使える、小豆入りのアイピロー。目を温めることで涙も出やすくなる。ビューティナイトアイピロー 2,970円(ニールズヤード レメディーズ TEL:0120-316-999)
蒸気温熱で温め潤う。管理医療機器に認定された使い切りタイプ。めぐりズムメディカルアイケアマスク 5枚入り899円*編集部調べ(花王 TEL:0120-165-696)
毛様体筋を緩める
「スマホやパソコンなどを長時間見るならば、30分に1回くらい、遠くの景色をぼんやり見たり、目を閉じたりして、1分程度は目を休めてほしいですね」
また、目のピントを合わせる機能を高める遠近ストレッチも、凝り固まった毛様体筋をほぐす効果が。
〈目の休め方〉
30分に1回、1分程度、5メートル以上先をぼんやりと見るだけで休息に。目を閉じても同様の効果が。
〈遠近ストレッチ〉
目の前30cmに立てた親指と離れた所を5秒ずつ交互に見つめる運動を10往復。毛様体筋のほぐしに。
『クロワッサン』1159号より
広告