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『モネ没後100年 クロード・モネ -風景への問いかけ』アーティゾン美術館──モネが愛した風景をたどる

青野尚子のアート散歩。今回は、パリのオルセー美術館の学術的協力のもと、同館からモネ作品41点を含む約90点が来日する展覧会。日本初公開作品も見られる貴重な機会だ。

文・青野尚子

【日本初公開】クロード・モネ 《トルーヴィル、ロシュ・ノワールのホテル》 1870年、油彩・カンヴァス、オルセー美術館蔵 Photo(c)GrandPalaisRmn (musée d’Orsay) / Gabriel de Carvalho / distributed by AMF
【日本初公開】クロード・モネ 《トルーヴィル、ロシュ・ノワールのホテル》 1870年、油彩・カンヴァス、オルセー美術館蔵 Photo(c)GrandPalaisRmn (musée d’Orsay) / Gabriel de Carvalho / distributed by AMF

2026年はモネの没後100年のメモリアル・イヤー。『モネ没後100年クロード・モネ -風景への問いかけ』はパリのオルセー美術館の学術的協力のもと、同館からモネ作品41点を含む約90点が来日する展覧会。日本初公開作品も見られる貴重な機会だ。

展覧会は19世紀半ば、若き日のモネの風景画に対する取り組みから始まる。持ち運びできるチューブ入りの絵の具によって戸外での制作が容易になり、写真の登場によって絵画の意義を改めて見つめ直すこととなった時代だ。あわせて工業化が進み、モネはサン=ラザール駅やそこを発着する汽車を興味深く見つめている。その鉄道や船で彼は国内外に足をのばし、さまざまな地形や街並みを描いた。日本美術にも興味を持って浮世絵をコレクション、西洋とは異なる自然や風景の表現を学んでいる。

モネは風景を構成するさまざまな要素の中でもとりわけ水や光など移ろい、手にとることができないものに惹かれていた。「ルーアン大聖堂」の連作は朝と夕、晴れた日と曇った日と刻々と変化していく光のすべてを捉えようとしていたかのようにも思える。「睡蓮」のシリーズでは次の瞬間には消えてしまうかもしれない池に反射する陽光や柳の葉の影を、愛おしさを込めて描く。

モネの楽しげな筆致は画面に躍る光を封じ込めたかのようだ。100年の時を経てますます輝きを増す絵画の前に立つ、至福のひと時が待っている。

『モネ没後100年 クロード・モネ -風景への問いかけ』

アーティゾン美術館 開催中~5月24日(日)

エミール・ガレらモネと同時代の工芸や写真も紹介。あわせて神話や物語をテーマにした『カタリウム』展を同時開催。モネ展のチケットで入場できる。チケットはウェブ予約がお勧め。

アーティゾン美術館(東京都中央区京橋1-7-2)  TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル) 10時~18時 2月16日、3月16日、4月13日、5月11日休 入館料一般2,500円ほか
クロード・モネ 《睡蓮の池、緑のハーモニー》 1899年、油彩・カンヴァス、オルセー美術館蔵 Photo(c)GrandPalaisRmn (musée d’Orsay) / Stéphane Maréchalle / distributed by AMF
クロード・モネ 《睡蓮の池、緑のハーモニー》 1899年、油彩・カンヴァス、オルセー美術館蔵 Photo(c)GrandPalaisRmn (musée d’Orsay) / Stéphane Maréchalle / distributed by AMF
  • 青野尚子 さん (あおの・なおこ)

    アート・建築関係のライター

    著書に『超絶技巧の西洋美術史』(池上英洋さんとの共著、新星出版社)など。

『クロワッサン』1159号より

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