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ありふれた光景から見出した「ささやかな幸せ」──「Driving Home for Christmas」(クリス・レア)

高橋芳朗の暮らしのプレイリスト。イギリスのシンガーソングライター、クリス・レアが昨年12月22日に亡くなりました。クリスの代表作から季節外れを承知であえて紹介したいのが、1986年にヒットした「Driving Home for Christmas」。クリスがホリデーシーズンに妻と車で帰省する際、雪が降りすさぶ夜道で渋滞に捕まった実体験に基づいています。

文・高橋芳朗

昨年10月にリリースされた『ザ・クリスマス・アルバム』には、「Driving Home for Christmas」リマスター版と1986年のオリジナル版ほか、計8曲が収録されている
昨年10月にリリースされた『ザ・クリスマス・アルバム』には、「Driving Home for Christmas」リマスター版と1986年のオリジナル版ほか、計8曲が収録されている

イギリスのシンガーソングライター、クリス・レアが昨年12月22日に亡くなりました。闘病生活の末の最期、74歳でした。

独特のハスキーでしゃがれた声がトレードマークのクリスは、1978年に「Fool(If You Think It’s Over)」によってグラミー賞最優秀新人賞にノミネート。1987年には「On the Beach」がマツダ「エチュード」のCMに使われたことでその魅力が日本でも広く知られるようになりました。

そんなクリスの代表作から季節外れを承知であえて紹介したいのが、1986年にヒットした「Driving Home for Christmas」。いまとなっては、聖夜の直前に逝った彼の人生を象徴する曲といえるでしょう。

全英チャートでトップテン入りした「Driving Home for Christmas」は、大切な人に思いを馳せながら車で家路に急ぐ様子を描いたクリスマスソング。この題材はクリスがホリデーシーズンに妻と車で帰省する際、雪が降りすさぶ夜道で渋滞に捕まった実体験に基づいています。

赤信号と渋滞の列、終わりの見えない夜の道。その単調な情景の中に灯る、帰る場所があるという確かな希望。祝福はまだ先にあるが、そこへ辿り着くまでの時間こそが愛おしい──ありふれた年末の光景にささやかな幸せを見出した、クリスの日常に寄り添った眼差し。その静かな優しさの中に、クリスマススピリットの本質を垣間見る思いがします。

  • 高橋芳朗 さん (たかはし・よしあき)

    音楽ジャーナリスト

    TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』『金曜ボイスログ』などに出演中。共に番組選曲も担当。

『クロワッサン』1159号より

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