『地球の歩き方 歴史時代シリーズ ハプスブルク帝国』地球の歩き方編集室 編──栄華を誇った帝国を一気に見渡せる一冊
文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。
文・瀧井朝世
ハプスブルク家といえばマリア・テレジアとかマリー・アントワネットとかエリザベートとか、ルドルフ〇世とかフリードリヒ〇世とか……という程度の記憶しか残っていない私。この本が高校時代にあったなら、きっと世界史の参考書として熟読していたと思う。なんですかこの充実ぶりは。
ハプスブルク帝国ゆかりの土地や建造物を紹介するガイドブックかと思ったら、それだけではなく、家系図や年表も載っており、さらに数十ページにかけて十三~十五世紀の黎明期から二十世紀までの帝国の歴史をたっぷり紹介。
もちろんガイドブックとしても、メインであるオーストリアのウィーンをはじめ、スイスやドイツ、チェコやハンガリー、ベルギーにオランダ、さらにはスペインとポルトガルまで……って、六百年以上栄えた帝国となると、ゆかりの地が実に広範囲にある。
少し前に映画『エリザベート1878』を観たり、教室内の反乱とフランス革命を重ねた柚木麻子の『王妃の帰還』を再読してマリー・アントワネットについて考えたりしたばかり。ハプスブルク家はけっこう身近な(?)存在だ。しっかり読み込んでおけば、関連映画や本に触れた時の面白さが倍増だ。
『クロワッサン』1159号より
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