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家を建てる? それとも賃貸?──人生後半の家選びQ&A

思い切って住み替えるなら、今がラストチャンス!? 新築か改修か、はたまたシニア向け賃貸物件か。人生後半の家選びで知りたいこと、気になることを建築家の湯山重行さん、「リコーリース」環境・不動産営業本部の勝村健一さんに聞きました。

撮影・黒川ひろみ イラストレーション・ニャンパッチ 文・恒木綾子

家を建てる、改修する

家を建てる? それとも賃貸?──人生後半の家選びQ&A
湯山重行(ゆやま・しげゆき)さん
建築家
アトリエシゲ一級建築士事務所代表。シニア世代のための小ぶりな平屋“60ハウス”が話題に。著書に『60歳で家を建てる』(毎日新聞出版)。

Q. 家は何歳まで建てられる?

「まず考慮しなければいけないのは住宅ローンの問題。借り入れが可能な上限は概ね70歳未満で、完済時の年齢は80歳未満が条件。そうなると借り入れを開始する年齢によっては、月々の支払いが重くのしかかってきてしまいます。もう一つが、気持ちの問題。どれだけ現金があっても、年齢を重ねると腰が重くなり、家を建てたいという情熱もなくなってきます。そして、それを実現させるための体力や時間も必要。そう考えると、お金、健康、時間、情熱の4つが揃う65歳前後までが現実的です」

Q. 50代以降で家を建てる場合、おすすめの設備やポイントは?

「50代以降で建てるなら、断然小さい家、できれば平屋がおすすめです。小さければ当然、暖かいですし、移動や掃除もラク。設備面では、年々腰をかがめるのはしんどくなってくるので、コンセントを高い位置にするのもいいでしょう。そのほか、夜中にトイレに行きたくなった時のことを考えてセンサー付きの照明にしたり、手探りで点けられるようスイッチを腰の高さにしたり。災害時対策としては、オール電化よりはガスを併用するのが安心です」

50代以降におすすめの平屋。外壁の塗り替えなど、メンテナンス費用も安く済む
50代以降におすすめの平屋。外壁の塗り替えなど、メンテナンス費用も安く済む
天井を高くできるのも平屋の利点。視覚的に空間が広く感じられ、圧迫感がない
天井を高くできるのも平屋の利点。視覚的に空間が広く感じられ、圧迫感がない

Q. 立地面で考慮すべき点は?

「駅から徒歩7分以内が理想。駅から近ければ店も多く、女性のひとり暮らしの場合は防犯上も安心です。また、住み慣れた街やコミュニティがある場所は、気持ちの安定にも繋がります。そして何より注意したいのが災害のリスク。地域のハザードマップで確認し、津波、高潮、洪水、氾濫、土砂災害などの危険性がある場所は避けたいですね。また崖地や傾斜地における建築行為を制限する“がけ条例”の対象地は建て替えができない可能性があり、その後の処分に困ることも」

Q. 新築のメリットは?

「昨年の4月に建築基準法が変わり、断熱性の基準も上がりました。そのため、これから建てる新築物件は、自ずと冬は暖かく夏は涼しいので、ランニングコストが抑えられるというメリットがあります。リフォームは制約が多く、新築よりも割高。今は建築資材費が上がっているので、新築とリフォーム2つの選択肢がある方にとって費用的にはなんとも言えないところがありますが、達成感や満足感は新築のほうが勝る傾向にあります。住み替えの場合、好きな立地を選べる一方、新しい環境にストレスを感じてしまうデメリットも」

家を建てる? それとも賃貸?──人生後半の家選びQ&A
家を建てる? それとも賃貸?──人生後半の家選びQ&A

Q. 住んでいる家を「終の棲家」にするためのリフォームにはどんなものがある?

「玄関の土間部分の拡張です。高齢になると宅配に頼ることも多くなるので、段ボール箱をそのまま置いておくスペースも取れます。汚れても掃除しやすいため、歩行器なども置ける。もう一つは防音室。遮音性が上がれば安眠にも繋がる上、防護扉にすれば強盗や災害から身を守る避難部屋にもなります」

防音室の一例。楽器を演奏したり、運動をしたり、趣味のスペースとしても使える
防音室の一例。楽器を演奏したり、運動をしたり、趣味のスペースとしても使える

家を借りる

家を建てる? それとも賃貸?──人生後半の家選びQ&A
勝村健一(かつむら・けんいち)さん
「リコーリース」環境・不動産営業本部
「リコーリース」環境・不動産営業本部ソーシャルイノベーション部営業一課長、シニアマネージャー。

Q. 賃貸が向いているのはどんなタイプ?

「転居のしやすさが賃貸のメリットであり特徴なので、環境が変わることに抵抗がない人や新鮮さを求める人に向いています。次に金銭面が心配な人。分譲だと金利が上がるリスクや、マンションはローンを終えても管理費や修繕積立金が上がって年金では賄えない場合も。老後の資金が心配で、持ち家を早めに売却して賃貸に住まわれる方も多くいます」

Q. 「シニア向け賃貸住宅」にはどのようなものがある?

「今は、一棟丸ごとではなく、一般的なマンションの一部をシニア向けに貸し出している物件もあります。老人ホームのように外出や食事の制限がなく、好みの立地が選べ、いざという時の訪問サービスが受けられるのがメリット。見た目に施設感がなく、集団生活が苦手な人にもおすすめです。あくまで一般のマンションなので、周りにファミリーや若い夫婦が住んでいるという利点も」

Q. サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)と賃貸住宅はどう違う?

「サ高住は、安否確認や生活支援サービスなどが受けられる高齢者向け住宅のこと。多くはバリアフリーが施されていて、介護・医療サービスも受けられる施設も一部あります。入居条件はあるものの、仕組みは一般的な賃貸住宅とほぼ変わりません。ただ、いわゆる老人ホームなので、周りが高齢者ばかりなのが気になるという理由で躊躇する人も」

Q. 今、分譲に住んでいる人が賃貸に住み替えることは可能?

「不可能ではありませんが、どれだけお金を持っていても、一般的な賃貸住宅は60歳を超えると途端に契約が難しくなるのが現実です。また、老人ホームは入居時の初期費用が高額であったり、要介護度など入居条件に制約もあります。賃貸暮らしが選択肢にあるのであれば、遅くとも50代のうちに将来の住まいをどうするのかは考えておきたいですね」

アンジュプレイス

東京23区を中心に展開するシニア向け賃貸住宅シリーズ。物件はすべてエレベーターとオートロック付きで、駅から徒歩10分以内かつスーパーや病院が徒歩圏内にある利便性の高い立地。2カ月に一度、社会福祉士が訪問するサポートや、室内に設置されたセンサーに一定時間反応がないと警備員が駆けつける24時間365日見守りサービスも。60歳以上限定、要支援2まで入居可。

物件はすべてSRC、RCマンションの一室で、30㎡前後の1Rや1LDKがメイン。全物件のトイレ、玄関、浴室に手すりを、室内には24時間365日見守りサービスのためのコントローラーを設置している。<a href="https://senior-residence.r-lease.co.jp/" target="_blank">https://senior-residence.r-lease.co.jp/</a>
物件はすべてSRC、RCマンションの一室で、30㎡前後の1Rや1LDKがメイン。全物件のトイレ、玄関、浴室に手すりを、室内には24時間365日見守りサービスのためのコントローラーを設置している。https://senior-residence.r-lease.co.jp/

『クロワッサン』1158号より

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