45歳で絵本作家──玉田美知子さん(48歳)“遅咲きだからこそ、描ける物語がある”
撮影・衛藤キヨコ 文・保手濱奈美
専業主婦だった玉田美知子さんが45歳で絵本作家になり、デビュー作の『ぎょうざが いなくなり さがしています』が大ヒット。一聴するとできすぎた物語のようだが、その夢を掴むまでの道のりには紆余曲折と、地道な努力の積み重ねがあった。
「子どもの頃から絵本が好きで、中学2年生の時には絵本作家になりたいと思っていました。でも、夢に近づくために進んだ美大で音楽に熱中。その後、結婚、出産を経るまで、絵本作家の夢から遠ざかっていました」
夢が再燃したのは、27歳の時。
「娘に絵本を読み読み聞かせるうちに、『やっぱり絵本が好きだ!』と情熱が湧いてきて。娘が寝ている間に絵本を描いてコンペに応募しましたが、2年連続で落選しました」
以降、子育てに追われ、再び夢は中断へ。それから約15年後、玉田さんは42歳になり、ついに夢と本格的に向き合える時がやってきた。
「娘が高校2年生になって、ようやく自分の時間が持てるようになったのです。これからは自分のやりたいことをやろう。そう思った時、真っ先に浮かんだのは絵本作りでした」
まず始めたのは、絵本を描くための教室に通うこと。過去のコンペの落選も踏まえ、絵本作りをイチから学び直した。8カ月の受講で基礎を固めた玉田さんは、卒業制作を再度コンペに応募。入選する。
「でも、出版には至りませんでした。そこでさらに完成度を高めようと、オンラインの絵本講座を受講。プロの編集者さんに添削してもらい、ブラッシュアップした作品を講談社絵本新人賞に応募しました。結果は佳作を受賞。でも、出版には至らず……。新人賞を受賞しなければ、絵本を出版できない。つまり、絵本作家にはなれないという強い思いで、翌年の2022年に『ぎょうざが いなくなり さがしています』を、再び講談社絵本新人賞に応募しました」
そして、この作品でついに新人賞を受賞! 45歳で夢を叶えた。
「絵本には、絵にも文章にも作家の経験が表れます。私は絵本作家としては遅咲きですが、だからこそ子育てやご近所さんとの会話など、物語の糧になりそうな蓄積がたくさんある。その持ち味を生かし、これからも楽しい作品を作っていきたいです」
玉田さんの人生の転機
14歳
絵本作家になることを夢に描く。
20代前半
美大を卒業後、就職、結婚。
25歳
出産後、専業主婦に。
27歳
子育てで絵本に接するようになり、思いが再燃。2年連続で絵本のコンペに応募するが、いずれも落選。
28歳
娘が幼稚園に通い出した頃から忙しくなり、絵から離れる。
42歳
子育てが落ち着き、絵本教室に通うことを決める。
43歳
約1年間、オンライン絵本講座を受けながらコンペに応募。
45歳
第43回講談社絵本新人賞を受賞し、絵本作家デビュー。
『クロワッサン』1158号より
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