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野菜を賢く組み合わせて。じんわり効く、体質別薬膳レシピ

身近な食材にも、薬と同じ効果があると考える薬膳。たんぱく質と野菜を組み合わせ、体質改善につながる食養生を実践してみよう。

撮影・津留崎徹花 スタイリング・矢口紀子 イラストレーション・中島陽子 構成&文・板倉みきこ

薬膳の基本は、その時からだが求めるものを取り入れることだと、料理家の井澤由美子さん。さらに、体質にあった素材と調理法を選べば、食べものは薬にもなる(薬食同源)と考える。

「薬膳は、組み合わせの妙です。食べる人の体質や体調、食材の性質などを踏まえて、最適な組み合わせを考えます。その組み合わせがもたらす効果が、心身のバランスを整えるのです」

今回、食材の特性を理解するため、五臓、五味、五色、五性の分類法を取り上げた(上記)。こうした分類法をベースに、食べる人に合わせて食材の組み合わせを考えるのが薬膳なのだ。

加えて今回は、多くの読者が該当しそうな体質を3タイプに区分。たんぱく質を主役に据え、野菜を組み合わせた薬膳メニューをタイプごとに考案してもらった。自分の体質に近そうなタイプ用のメニューを取り入れてほしい。

野菜を賢く組み合わせて。じんわり効く、体質別薬膳レシピ

からだに働きかける作用を把握するための分類法
人間のあらゆる機能を肝、心、脾、肺、腎の五臓に分類するのが基本の考え。心身の不調は五臓のどれかが弱ったためと捉える。薬膳では、各臓器に対応する特性を持つ食材を選び組み合わせて不調をケア。その指針が五臓と関連する五味、五色だ。酸味と青(緑)は肝、苦味と赤は心、甘味と黄は脾、辛味と白は肺、鹹味(塩辛い味)と黒は腎に作用。からだを温める温熱性や、冷やす寒涼性、どちらでもない平性に分ける五性も参考にする。

たとえば、この食材にはこんな特性が…

にら 青色は肝に対応し、腎機能の改善にも効果がある。独特の香りが巡りを促し、からだを温める作用がある…
にら
青色は肝に対応し、腎機能の改善にも効果がある。独特の香りが巡りを促し、からだを温める作用があるので、冷え性の改善や風邪の予防にもいい。
じゃがいも 脾の働きを高め、胃腸を丈夫にする甘味と黄色の特性を持つ。体力低下や便秘などの改善にも有効…
じゃがいも
脾の働きを高め、胃腸を丈夫にする甘味と黄色の特性を持つ。体力低下や便秘などの改善にも有効。生のじゃがいもの絞り汁には、解毒・消炎作用がある。
牡蠣 腎の機能改善に向く、黒色で鹹味の特性を持つ食材。脾に対応する甘味も持つ。からだを潤して血を補い…
牡蠣
腎の機能改善に向く、黒色で鹹味の特性を持つ食材。脾に対応する甘味も持つ。からだを潤して血を補い、精神を落ち着かせる作用などがある。

肝気鬱結(かんきうっけつ)タイプ

エネルギーの流れが滞り、心身に不調を起こした状態

イライラや気分の落ち込みがあったり、肩こりや頭痛、喉のつかえを感じるなどの症状は、肝のエネルギー(気)が滞った状態。肝は西洋医学の肝臓の機能だけでなく、自律神経の調整にも関わっているので、肝が弱ると体温調節がしづらくなり、疲れやすくもなる。「肝の働きを整えながら、滞ったエネルギーを巡らせる食材を選びます。あさりや鶏のレバー、うなぎ、にら、小松菜、セロリ、せり、春菊などを。セロリやせりなどの香り高い食材には、気を巡らせる作用があります。五味でいうと酸味がおすすめです」

あさりとせりのレモン炒め

野菜を賢く組み合わせて。じんわり効く、体質別薬膳レシピ

肝の機能をケアし、精神的な安定をもたらすあさり。せりは肝に対応する青色で、その豊かな香りが滞った気の巡りも促す。レモンの香りにも同じ効果があり、栄養学的には豊富なクエン酸が疲労回復に寄与する。

【材料(2人分)】
あさり(殻付き/砂抜きしたもの)…170g
せり…1束
レモンスライス(5mm厚)…3枚
塩小さじ…1/3
酒大さじ…2
オリーブオイル…小さじ2
にんにく…1かけ

【作り方】
1. レモンスライスは半月切りにしてポリ袋に入れ、塩を加えて揉み込む。せりは3cm幅に切り、にんにくはつぶす。
2. フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れて弱火にかけ、香りが出たらあさり、せりの茎の部分、①、酒を加えてフタをし、2〜3分蒸し焼きにする。あさりの口が開いてきたら、せりの葉の部分を入れ、さっと火を通して器に盛る。

レバニラせいろ

野菜を賢く組み合わせて。じんわり効く、体質別薬膳レシピ

鶏レバーは肝機能を養う代表的な食材。肝と腎に対応し、気を巡らせるにらとの組み合わせは、滋養強壮料理としてもお馴染み。今回は、食材が持つ栄養を無駄なくいただける、薬膳推奨の調理法“蒸し料理”にアレンジ。

【材料(2人分)】
鶏レバー…180g
にら…10本
A[おろししょうが・おろしにんにく・醤油・ごま油…各小さじ1
オイスターソース・酒…各大さじ1]
細切りしょうが…適宜

【作り方】
1. レバーは余分な筋や脂を取り、食べやすく切って水洗いし、ザルに上げる。にらは4cm長さに切る。
2. 器に①とAを入れて混ぜる。
3. 鍋に湯を沸かし、湯気が上がったら蒸し器を置き、②を器ごと入れて強火で10分蒸す。好みで細切りしょうがを散らす。

脾胃虚弱(ひいきょじゃく)タイプ

消化吸収力が虚弱状態で、栄養不足により疲れやすい

五臓の脾は、主に消化吸収を司る。暴飲暴食の影響で胃腸の調子が弱っている人も、もともと胃腸が虚弱な人もこのタイプに向く食材と調理法で整えてほしい。「煮込み料理やスープ、蒸し料理など、油を使わず温かい調理法が向いています。消化に良い食べ物を取り入れるのが大前提。たんぱく質なら豆腐や卵、鶏肉がおすすめです。脾に関連するのが黄色い食材。ホクホク甘い芋類は、脾のエネルギー(気)を補ってくれます。脾胃虚弱の場合は、取り入れるだけでなく、冷たいものや生もの、油っぽいものを控えめにするのが大事」

鱈とじゃがいものかき玉スープ

野菜を賢く組み合わせて。じんわり効く、体質別薬膳レシピ

黄色く、甘味を持つじゃがいもは、脾に属す代表的な食材。甘味は滋養強壮や痛みを緩和する作用がある。消化しやすく、疲労回復作用もある鱈、脾に対応する卵と一緒にスープにすれば、疲れた胃腸を癒やす一品が完成。

【材料(2人分)】
鱈切り身(甘塩)…2枚
じゃがいも(中)…2個
卵…1個
和出汁(昆布鰹)…2カップ
塩…少々
胡椒…適宜

【作り方】
1. じゃがいもは食べやすく切って、下茹でする。鱈の切り身は4等分に切り、卵はほぐす。
2. 小鍋に①のじゃがいもと出汁、塩を入れてふつふつ沸いたら、鱈を加えて火を通す。卵を少しずつ加え、卵が浮いてきたら火を止めて器に盛る。好みで胡椒を振る。

豆腐と鶏ひき肉の豆乳葛あんかけ

野菜を賢く組み合わせて。じんわり効く、体質別薬膳レシピ

たんぱく質は必須だが、このタイプなら鶏肉はひき肉を選び、豆腐を加えるなど胃腸に優しい食材を選んで。生薬にも使われる薬効の高い葛粉には、ホルモンバランスを整える作用もある。心が和む、優しいとろみが魅力。

【材料(2人分)】
絹豆腐…1丁
キャベツ…3〜4枚(80g)
鶏ひき肉…100g
豆乳…200ml
鶏ガラスープの素…小さじ1
葛粉…大さじ1

【作り方】
1. 豆腐は半分に切って、それぞれ器に入れる。
2. 粗みじん切りにしたキャベツと他の材料を全て混ぜ、半量ずつ豆腐にのせる。
3. 鍋に湯を沸かし、湯気が上がったら蒸し器を置き、②を器ごと入れて10~15分、肉に火が入るまで中強火にかける。

腎気不足(じんきぶそく)タイプ

加齢で腎の働きは低下。薬膳でアンチエイジングを

腎は西洋医学の腎臓の働きだけでなく、成長・生殖などを司る力を貯めておく能力も担う。また、水分の貯蔵と排泄も司る。腎のエネルギー(気)は加齢とともに衰えやすく、更年期の症状は腎気不足と捉える。むくみや頻尿などもこのタイプに該当。「海藻や貝類などのミネラル豊富な鹹味の食材は、腎の気を補います。また黒きくらげや黒胡麻など、黒色の食材もおすすめです。加齢によりエネルギーが不足してくるので、元気の源の血を養う食材、赤身肉やレバー、ほうれん草なども取り入れて。クコの実やナツメも有効です」

漆黒のサバ味噌ほうれん草添え

野菜を賢く組み合わせて。じんわり効く、体質別薬膳レシピ

お馴染みのサバ味噌を薬膳にアレンジ。焼いた塩サバの上に、腎をケアする黒胡麻たっぷりの味噌ダレをかけるだけ。煮込むよりサバがしっとり仕上がる。血を補い、からだを潤す作用のあるほうれん草を添えて。

【材料(2人分)】
塩サバ…2切れ
ほうれん草…1束
A[黒胡麻ペースト…大さじ2
味噌…小さじ2~3
本みりん…大さじ3
出汁…350ml
クコの実…適宜

【作り方】
1. ほうれん草は茹でて水気を絞り、3cm幅に切る。サバは熱したグリルでこんがり焼く。
2. 小鍋にAを合わせて中火で煮て、みりんのアルコールが飛び、とろみがついたら火を止める。
3. 器に①のほうれん草とサバを盛り合わせ、黒胡麻味噌ダレをかける。あればクコを飾る。

牡蠣と山芋とわかめの養生蒸し

野菜を賢く組み合わせて。じんわり効く、体質別薬膳レシピ

腎に属する、ミネラルたっぷりの牡蠣とわかめ。腎を養い、消化吸収を助け、疲労回復にも役立つ山芋は、生薬にも使われるアンチエイジング向きの食材。これら3つの食材の滋養を、余すことなくいただける蒸し調理で。

【材料(2人分)】
牡蠣…6個
長芋…4cm程度(80g)
生わかめ…60g
昆布(10cm四方)…1枚
塩…大さじ1くらい
ゆず…1/2個(好みで)

【作り方】
1. 昆布の表面を軽く酒(分量外)でふき、湯気の出ている蒸籠に入れ、1分置いて取り出す。長芋はこすり洗いし、皮付きのまま1cm幅の輪切りに。牡蠣は塩を振って水で洗い、ザルに上げる。
2. 器に昆布を敷いてわかめ、長芋、牡蠣を置き、湯気が上がった蒸籠に入れて牡蠣に火が入るまで4〜5分蒸す。好みでゆずを搾る。

  • 井澤由美子 さん (いざわ・ゆみこ)

    料理家

    養生デザイナー、国際中医薬膳師、国際中医師。「東京食薬LABO」主宰。発酵食や薬膳、郷土食に精通し、食養生の視点を取り入れたレシピを開発。

『クロワッサン』1157号より

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