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50歳前後は女性の人生の“お疲れ期”──上手に休む、リカバリー術

家でも職場でもプライベートでも、何かと頼られ、自分のことは後回し。みんなのために動くことが、当たり前になっている女性たち。そのお疲れ度は想像以上に深刻かも。心も体も燃え尽きるその前に、小出しに解消&回復を心がけて。女性医療のパイオニアである医師の天野惠子さんに、上手に休む、「リカバリー法」について伺いました。

イラストレーション・Okuta 文・小沢緑子

50歳前後は女性の人生の“お疲れ期”

50歳前後は女性の人生の“お疲れ期”──上手に休む、リカバリー術

40代後半から50代ともなると、すぐ疲れたり、だるさが続いたり、あるいはやる気が出なかったり。「以前とは疲れ方が全く違う」と感じることが頻繁になる。

「似たような症状に病気が隠れていることがあり、症状がひどい場合は婦人科や女性外来できちんと診察を受けてほしいですが、疲労感も更年期に感じやすい症状のひとつです」と、女性医療のパイオニアである医師の天野惠子さん。

さらに今は晩婚化して出産年齢も上がり、更年期は仕事では責任が増え、家庭では子どもの進路や親の介護問題も重なるなど、精神的な負担が増えやすい時期。

「私にもちょうど更年期の娘がいて、『症状があるときは無理せず加減を。人生は太く短くより、“細く長く生きる”が華よ』とアドバイスしています。仕事に家庭にと頑張りすぎてストレスフルな状況が続くと、不調の引き金にもなってしまいます。閉経を境に女性の体は一気に変化し始めるので、つらいときはくれぐれも我慢せず、上手にやりすごすことも必要です。心身ともに燃え尽きないよう負担を減らす方法を身につけて」

“自分の健康は自分で守る”意識をもって

まず天野さんが50歳前後の世代に必須としてすすめるのが「自分の健康は自分で守るという意識を強くもつ」ことだ。

「そのためにも“ヘルスリテラシー(健康や医療に関する正しい知識を知り活用する力)”をもっと高めてほしいと思います。たとえば女性の一生は『女性ホルモンのエストロゲンの変動に左右』され、『その庇護にはタイムリミットがある』ということ。『閉経後にエストロゲンがゼロになると女性の体は新たなステージ(老年期)に進み、病気のリスクが上がる』ことなどを知ると、更年期以降は今まで以上に体をいたわって過ごすことが重要だとわかってきます。そのうえで、自分の体の声に耳をそばだててください」

ちなみに疲れやストレスが蓄積すると、いつもより脈が速くなる、口が乾く、頭痛がするなど、体に警告サインが現れるという。

「疲れがなかなか取れないときは休養や睡眠時間は足りているかなど、心当たりを探ってみて。自分の体の負担になっていることを、ひとつずつセルフケアしながら取り除いていきましょう」

“自分ファースト”なリカバリー術を!

仕事に家庭に忙しいうえ、ついつい自分を後回しにしてしまうためいつも疲れがMAX……。そんな人は、こんなリカバリー術を。

「朝の起床時から夜の就寝時までの1日、さらに1週間のタイムスケジュールを決めてそれを優先。生活リズムが大きく乱されることがなくなると、体も整い、次第に元気に疲れにくくなりますよ」

心身のアップダウンが激しいときは、「家族や周囲にあえて更年期でつらいことを公言するのも手。相手も調子が悪いことがわかったほうが逆に助かりますし、お互いの気持ちがラクになります」。

人間関係のストレスは?

「他人を変えることはできないので『人は人、私は私』と割り切り、自分がやるべきことを淡々と続けているうちに気持ちがフラットになる。必要以上にストレスを感じることが減っていきます」

さらに天野さんは「自分の体や心が健康でないと人生は楽しめないし、家族や周囲の人にも優しくできないでしょう?」と続ける。

「これからはいい意味で、自分を一番大切にする“自分ファースト”を心がけていきましょう」

  • 天野惠子 さん (あまの・けいこ)

    内科医

    ”女性外来”の創設に尽力し、普及させた第一人者。2009年から埼玉・静風荘病院 特別顧問。近著は『81歳、現役女医の転ばぬ先の知恵』。

『クロワッサン』1149号より

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