鮭のコンフィー ──松田美智子の「くらしの歳時記」
古くから伝わる習慣やしつらい、暮らしの知恵。松田美智子さんが取り入れている“歳時記”を紹介します。今回は「コンフィー」。
撮影・鍋島徳恭
鮭のコンフィー
平たく言うと油煮。こんなに簡単に上等な味になるなんて!
昔々、ビストロで初めて出会った鴨のコンフィー。鴨のもも肉の大きな骨が剥き出しで、一見ちょっと乾いた感じ。一瞬「違うものにすれば良かった」と思いながら付け合わせのじゃがいもを一口食べると、皮はパリ、おいもがジューシーでホクホク。鴨も小さく切って一口。「ヤダァー、好みの味」とうれしくなりました。作り方を伺うと、下味をつけた素材を低温の油で煮るだけと教えていただきました。家に帰って、フランス料理の本も見ながら鶏肉でコンフィーを試し、我が家の定番に。素材によって、下味を変えますが、オリーブオイルだけではなく、ワインやチキンスープを合わせたり、加熱温度や時間を変えたり、試行錯誤を楽しんでいます。大きな失敗はないのですが、オイルサーディンを試した時にオリーブオイルだけの揚げ煮はカリカリになりすぎてしまい、脂の少ない素材、小さい素材には、水分を油の4分の1〜3分の1ほど加えるようになりました。
コンフィーの油もまた、旨し
生鮭4切れを大きめの一口大に切り、塩小さじ2を全体に振って15分置く。蓋付きの耐熱容器にオリーブオイル大さじ1をひいて鮭を並べ、潰したにんにく1かけ分、赤唐辛子2cm分、ベイリーフ1枚、ローズマリー2枝、白粒胡椒小さじ1、白ワイン大さじ2を加え、オリーブオイルをひたひたに注ぐ。蓋をしっかりして190℃に予熱したオーブンで30分加熱する。蓋を取って、ミニトマト10個を散らし、さらに10〜15分加熱する。メインとしてそのまま食べても、またはご飯に貝割れ菜と共にのせ、残ったオイル、しょうゆを好みでかけて、どんぶり風にしても。
『クロワッサン』1150号より
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