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“体の疲れ”を回復させ、元気を取り戻す作り置きとスープ

疲れて食事がおろそかになる、食が細くなる。その悪循環が疲労を常態化。「薬食同源」を実践する薬膳の知恵から、“体の疲れ”を回復させる作り置きとスープのレシピを国際中医師・国際中医薬膳管理師・管理栄養士の植木もも子さんに教えていただきました。

撮影・小川朋央 イラストレーション・くぼあやこ 構成&文・松本あかね

【体の疲れ】過労により「気・血」が消耗──めぐりも滞る

“体の疲れ”を回復させ、元気を取り戻す作り置きとスープ

肉体疲労は筋肉や腱、関節や骨など体を構成する各所が消耗することから起こる。最も足りていないのは「気」、その次が「血」。気を養う代表的な食材は鶏肉と米。血を補うのは色の濃い野菜や果物、イカ・タコなど。めぐりをよくするには香味野菜や柑橘など香りのよい食材を。

「気」を養う  鶏肉と米。消化吸収しやすいことも大切
全部位が「気」を養うとされる鶏肉、旧字の“氣”が示すように気力のもととされる米は消化吸収もよく、疲労時にぴったりのパワーフード。中でも鶏むね肉は疲労回復を助けるイミダペプチドが豊富。手羽元は、筋肉の修復に関わるビタミンDが豊富なきのこ類、抗酸化力の高いスルフォラファンを含むブロッコリースプラウトを組み合わせてスープに。

鶏むね肉、生姜、甘栗のご飯のお供

“体の疲れ”を回復させ、元気を取り戻す作り置きとスープ

【材料(作りやすい分量)】
鶏むね肉…1枚(250g)
生姜の千切り…15g
甘栗…1袋(110g)
酒…大さじ3
米油…大さじ1
粗糖…大さじ1/2
醤油…大さじ2
みりん…大さじ1/2
塩…少々

作り置きし、ご飯に添えると疲労回復に必要な栄養がいつでも摂れる。清潔な保存容器に入れ、冷蔵で4〜5日間保存可能
作り置きし、ご飯に添えると疲労回復に必要な栄養がいつでも摂れる。清潔な保存容器に入れ、冷蔵で4〜5日間保存可能

【作り方】
1. 鶏肉は洗って水気を拭き1cm角に切る。酒大さじ1と塩を振る。甘栗もさっと洗って水気を拭き、1粒を4つに切る。
2. フライパンに米油を入れて温め、生姜を加えて香りがたったら1の鶏肉の汁気を切って加え、色が変わるまで炒める。酒大さじ1を振り、蓋をして弱めの中火でさらに火を通す。
3. 甘栗、粗糖、酒大さじ1を加えて1分ほど煮る。醤油、みりんを加えて混ぜながらさらに1分ほど煮る。一度鶏肉と甘栗を取り出し、フライパンの中の煮汁を煮詰め、8割ほど煮詰まったら鶏肉、栗を戻して全体に絡める。

※混ぜご飯にする場合は、炊き立てのご飯2合に適量を混ぜ、三つ葉の軸をみじん切りにして添える。

鶏手羽元、エリンギ、黒キクラゲ、ブロッコリースプラウトのスープ

“体の疲れ”を回復させ、元気を取り戻す作り置きとスープ

【材料(2人分)】
鶏手羽元…6本
エリンギ…小2本(50g)
黒キクラゲ(乾燥)…2g
生姜の薄切り…4枚
ブロッコリースプラウト…1パック
酒…大さじ3
鶏ガラスープの素…小さじ1/2
塩…適量
胡椒…少々

手羽元は熱湯をかけると余分な脂や臭みが落ちる。骨髄の栄養は生命力を司る「腎」の気を養う
手羽元は熱湯をかけると余分な脂や臭みが落ちる。骨髄の栄養は生命力を司る「腎」の気を養う

【作り方】
1. 黒キクラゲは軽く洗い、水で30分以上戻す。手羽元は表面を洗って水気を拭き、酒大さじ1と塩少々を振る。エリンギは長さを半分に切り、縦に4等分する。ブロッコリースプラウトは根を切り落とす。
2. 手羽元をざるに取り、沸騰した湯を回しかける。鍋に手羽元を入れて酒大さじ2、生姜、水4カップを入れて火にかける。黒キクラゲを一口大にちぎって加える。
3. 沸騰したらアクを取り、鶏ガラスープの素、エリンギを加えて20分ほど煮る。塩小さじ2/5、胡椒で味を調える。器に盛り、ブロッコリースプラウトを添える。


「肉体的な疲れ、精神的な疲れ。中医学(中国の伝統的な医学)の観点からいうと、どちらの場合も『気・血』の不足とめぐり不足が最大の原因です」と国際中医師、国際中医薬膳管理師、管理栄養士の植木もも子さん。

「気」は一種のエネルギーで生命力を表し、「血」は血液とそれが運ぶ栄養素を指す。中医学では「気」「血」に「津」(体液)を加えた3要素が絶えず体をめぐり、心身を維持するとされる。消耗した気・血・津は食べ物によって補われ、疲労の場合は特に気・血を養うものが必要だ。

「薬膳では季節や体調に応じて食材を選びます。生命力のあるものを食べて気を養い、血を作るものを食べてきれいな血液を体じゅうにめぐらせる。そうすれば細胞から活性化し元気が蘇ります」(植木さん)

  • 植木もも子

    植木もも子 さん (うえき・ももこ)

    国際中医師、国際中医薬膳管理師、管理栄養士

    薬膳と栄養学の観点から、滋養に富みかつおいしいレシピを雑誌や書籍等で発信。監修本に『増補新版 薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖』(西東社)。

『クロワッサン』1149号より

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