かつお節に佃煮、日本茶──時を超えて愛される江戸の食みやげ(旨味編)
撮影・濱津和貴 スタイリング・伊東朋恵 文・梅原加奈
『日本橋 八木長(やぎちょう)本店』のかつお上削りと本節
数々の名店の味を支え、出汁文化を今に伝える乾物屋
元文2(1737)年、伊勢商人だった初代が日本橋で創業。料亭や割烹に昆布や鰹本枯節、椎茸など出汁の素材を卸す乾物屋として発展し、今も本店には、山海の乾物や出汁パック、おでんなどが揃う。八木長の礎といえる、厳選の鰹本枯節をおみやげに。左から、かつお上削り(一本釣り)80g 1,061円、本節アミ(徳用2本入)400g 5,940円。
『天安本店』のうなぎの佃煮
江戸っ子の食卓を豊かにした、保存食の名品
徳川家康の命で摂津国(現在の大阪府)佃村から漁民たちが移り住んだことに由来する、東京・佃島。彼らが小魚類を醤油で煮て保存食にした“佃煮”は、江戸庶民に広く愛された。発祥の地に店を構える『天安本店』の〈うなぎの佃煮〉は、脂ののったうなぎをボイルし、長年継ぎ足して受け継がれる甘辛たれで3時間じっくり煮込んだ人気の品。量り売りで100g 2,700円〜。
『笹巻けぬきすし総本店』の笹巻けぬきすし
笹に巻いて長持ちさせる、江戸の工夫が今に残る
江戸中期に登場した笹巻すしは、戦国時代に兵糧を笹で巻いて運んだことに着想を得たという東京名物。保存性を重視し、魚は三枚におろし、1日塩漬けしたのち酢で〆る。そのあと毛抜きで小骨を抜くことから「けぬきすし」という呼び名に。タネは鯛、おぼろ、卵、のりが定番。光り物と白身魚は季節で種類が変わる。10個詰め2,975円。
『東京繁田園茶舗(とうきょうはんだえんちゃほ)』のベストセラー3種セット
江戸の庶民も親しんだ、お茶を気軽なおみやげに
文化12(1815)年に先祖が狭山に茶園を開いて以来、210年の歴史を持つ日本茶専門店。江戸の後期には、庶民の間にも煎茶が広まり、国内外に茶を卸す茶商として発展。現在は全国の良質な茶葉を取り扱う。定番人気〈千代の香〉〈濃いみどり〉(各30g)、〈ほうじ茶 はんだかおりNo.1〉(15g)の3種が入ったお試しセットは気軽なおみやげにちょうどいい。1,280円。
『クロワッサン』1145号より
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