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昔を知れば楽しさ2倍。浮世絵を手がかりに、小説家・梶よう子さんと太田記念美術館 上席学芸員・渡邉 晃さんが巡る風景

絵師たちが描いた、当時の日常が感じられる場所へ。浮世絵を通してみると、現代の風景が少し違って見えてくるかも。

撮影・青木和義 文・嶌 陽子 構成・中條裕子

鍬形蕙斎「江戸名所の絵」

鍬形蕙斎「江戸名所の絵」 太田記念美術館蔵
鍬形蕙斎「江戸名所の絵」 太田記念美術館蔵
昔を知れば楽しさ2倍。浮世絵を手がかりに、小説家・梶よう子さんと太田記念美術館 上席学芸員・渡邉 晃さんが巡る風景

江戸一望
鳥の目になって描いた江戸の賑やかな街並み

津山藩のお抱え絵師だった鍬形蕙斎(くわがた・けいさい)が描いた鳥瞰図。現在の「東京スカイツリー天望デッキ」からの眺めと重なると評判に。手前を流れる隅田川、江戸城、浅草寺、不忍池(しのばずのいけ)、品川など、江戸の街並みが細かく描かれている。「高低差や街行く人々も描かれているのがすごい」(梶よう子さん)。「地図を見て、実際に江戸じゅうを歩いたうえで、想像力を働かせて描いたはず。卓越したリアリティです」(渡邉晃さん)

〈東京スカイツリー〉 2012年開業の電波塔。高さ634mはタワーとしては世界一。水族館やプラネタリウムも備えた商業施設「東京ソラマチ」を併設。 墨田区押上1-1-2  TEL:0570-550-634 (営)10時(土・日曜、祝日9時)〜22時(最終入場21時、時期により変更)年中無休 天望デッキ券(前売)平日2,100円、休日2,300円
〈東京スカイツリー〉 2012年開業の電波塔。高さ634mはタワーとしては世界一。水族館やプラネタリウムも備えた商業施設「東京ソラマチ」を併設。 墨田区押上1-1-2  TEL:0570-550-634 (営)10時(土・日曜、祝日9時)〜22時(最終入場21時、時期により変更)年中無休 天望デッキ券(前売)平日2,100円、休日2,300円

(左)渡邉 晃さん/(右)梶よう子さん
(左)渡邉 晃さん/(右)梶よう子さん

眼下に広がるのは、東京の街並み。隅田川、上野公園、皇居、晴れて空気が澄んでいれば、遠方に富士山も望める。現在、東京スカイツリーの展望台から見えるこの眺めと同じ風景を、200年以上前の浮世絵師が描いていたことをご存じだろうか。

「当時はもちろんこんなに高い建物なんてないのに、どうやってこの絵を描けたのか。“神の目”を持っていたとしか思えないです。江戸時代の人々は、浮世絵を通して私たちと同じ風景を見ていたんですね」

そう語るのは、浮世絵好きで、絵師や摺師(すりし)を題材にした作品をたびたび発表している小説家の梶よう子さん。そこで今回、浮世絵に描かれた風景に出合う散歩に出かけることに。案内役は浮世絵専門の美術館、太田記念美術館の学芸員である渡邉晃さんだ。

「今の東京には、浮世絵に描かれた風景を想起させる場所もまだ残っています。当時の様子を想像しながら歩いてみると楽しいですよ」

数百年前の人々は、この地で何を思い、どんな景色を見ていたのだろう。当時の面影を探しに、浮世絵の世界を訪ねてみよう。

梶さん・渡邉さんが訪れた場所はこちら

・三囲神社、湯島天満宮──庶民が深く馴染んだ、神社の景色
・日本橋駿河町、行人坂、万年橋──江戸の名所といえば、富士が見える場所
・桜田門、吉良邸、隠亡堀──当時話題となった、物語や事件の現場

  • 梶よう子

    梶よう子 さん (かじ・ようこ)

    小説家

    2008年『一朝の夢』で松本清張賞を受賞しデビュー。『北斎まんだら』『広重ぶるう』など、著書多数。近著に『京屋の女房』。

  • 渡邉 晃

    渡邉 晃 さん (わたなべ・あきら)

    太田記念美術館 上席学芸員

    「江戸の悪」「江戸の凸凹」などの展覧会を担当。『浮世絵でたどる! 江戸の凸凹地形散歩』『写楽 SHARAKU』ほか著書多数。

『クロワッサン』1145号より

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