人生後半のお金はどのくらい? 予算を見通そう
イラストレーション・John Danon 構成&文・黒澤 彩
人生後半のお金はどのくらい?予算を見通そう
自分について掘り下げてみて、これから挑戦してみたいこと、生き方のイメージが湧いてきただろうか?
「仕事でも、家庭でも、これまで歩んでこられたのは充分にすごいことで、誰にでも何らかのスキルがあるはず。まずは、自分がやってきたことを冷静に評価してあげましょう」と山中伸枝さん。
山中さんは、人生後半のお金について考えるときに、65歳からを老後としてそこに向けて蓄財するのではなく、50〜75歳を第二の現役期ととらえることを提案する。
「この年代を、老いていくだけの時間にはしたくないですよね。リンダ・グラットン氏が提唱したライフシフトは、一生のなかで何度でも学んで挑戦しようという考え方。50〜60代からでも遅すぎはしません。お金の面でも、節約だけをしながら乗り切るのはむしろ無理があります。70代前半までは何かを生み出す期間と考えましょう」
生活を変えるなら、収入が途切れたり、下がったりする可能性も。どのくらいの費用を捻出できるか、どのくらい収入があればいいのか。ここでは現実的に、今のお金と将来の収支の見通しを立てることから始めます。
今ある資産を棚卸し、支出も把握する
「老後資金がいくら必要といったメディアで取り上げられる金額は、モデルケースから試算した一例にすぎません。とかくお金に関しては、自分の資産、収入、支出を具体的に出さなければ永遠にわからないもの。手を動かして可視化してみましょう」
まずはバランスシートで、資産から負債を引いた純資産を割り出そう。預金以外の金融資産や不動産も合算すると、資産は意外とあるものだと気づくかもしれない。
住宅の値段がわかりにくければ、不動産情報サイトなどで近隣の相場を見てみるとおおよその見当がつきやすい。「その他」には、現金化できる実物資産などを記入する。
また、家計の支出も把握しておきたい。年間支出を大まかに書き出してみよう。
5年刻みの簡易キャッシュフローを作る
次は将来の収支の予測を表にしてみよう。
「50歳以降は、家族の計画も立てやすく、持ち家の人は住宅ローンを払い終える時期もわかっているので、キャッシュフローを予測しやすいはず」
就労収入が減っていく一方で、年金受給が始まる。また、子どもが自立するなど支出減の要素も。基本的には、生活費さえ月々の収入でカバーできれば、貯蓄を大きく取り崩さずにすむ。
「この表が、最低限必要な収入や、新しい挑戦の予算感をイメージするための“家計の資料”になります。本来は1年ごとに記入して年間収支を出すべきところを、5年刻みで75歳までの簡略化した表にしました。もちろん記入する金額も、だいたいの目安で構いません。書いて、計算してみると、何千万という貯蓄がなくてもなんとかなりそうだと思えるのではないでしょうか」
年金がいくらもらえるかわからないときは?
50歳以上の人は、年に一度送られてくる「ねんきん定期便」の裏面に年金の「見込額」が書かれている(オンラインの「ねんきんネット」に登録して調べることもできる)。この金額は、現在と同程度の収入が60歳まで続いた場合の65歳からの受給額。とりあえずはこの金額を表に書けばOK。
『クロワッサン』1126号より
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