寝る前の書道で心身をほぐす、山藤陽子さんのひとり夜ふかしの楽しみ。
一日を締めくくる夜時間。心身を癒やすためにどんなことをしているのか。
撮影・黒川ひろみ 文・嶌 陽子
筆を動かしているうちに自然と心が凪いできます。
SNSで見かけて憧れていた書家がたまたま近所で書道教室を開いていることを知り、半年ほど前から通い始めた山藤陽子さん。ある夜、なかなか寝つけず、ふと思いついて筆をとった。
「無心で書くうちに気持ちが凪いで、すごくリラックスできたんです。それ以来、夜に時間があると練習するように。仕事のあれこれが頭を離れないときも、筆を動かすと鎮まってきます」
1時間ほど書くと「そろそろ寝よう」と思えるそう。山藤さんにとって、心身をほぐす大切な時間となっている。
柔らかな光の中で文字と向き合う。
山藤さんが習っているのは小筆で書く文字。「まだまだ見よう見まねですが、こんなに夢中になれるとは。最近は商品をお客さまに送る際に手書きで一筆添えるようになりました」。あえて照明を暗くし、アンティークの灯油ランプに火を灯すといっそう心が落ち着く。
レコードの音を習字のお供に。
ときには好きなレコードを小さくかけながら字を書くことも。ノルウェーのグループ「キングス・オブ・コンビニエンス」の曲や八代亜紀『夜のアルバム』など。
『クロワッサン』1123号より