血糖値を賢くコントロール!糖質の適正量について考える。
撮影・北尾 渉 イラストレーション・本田しずまる 構成&文・中條裕子
糖質を適正に摂ることが、なぜ大切なのか?
今日は何を食べようかな?と考える際に、ご飯やパン、麺といった主食から思い浮かべる人も多いはず。
「炭水化物は糖質と食物繊維とで構成されており、エネルギー源となる糖質を大量に摂ると血糖値が急上昇します。それを下げるために膵臓から分泌されるのが、インスリンというホルモン。このインスリンには余った糖を脂肪に変える働きがあるので、蓄積すると肥満につながってしまうのです」
と、管理栄養士の麻生れいみさん。糖質の過剰摂取で上昇した血糖値は、今度はインスリンの働きで急降下。
「たとえば、昼食に糖質をたくさん摂って急激に上がった血糖値が、インスリンの働きで急降下したとします。すると3時間ほどでまた糖質が欲しくなり、甘いものを食べると再び血糖値が急上昇する。何か食べるたびに血糖値の乱高下が繰り返されると血管内部が傷ついて酸化ストレスが起こり、さまざまな疾病のリスクが高まります」
糖尿病をはじめとする生活習慣病やがん、認知症といった病気も招きやすくなると聞けば、予防は必須。そのためには、日頃から糖質は適正量を摂り、血糖値を緩やかに上げるような食生活を心がけることが効果的だという。
食事で気にかけるべきは、カロリーよりも内容!
緩やかに血糖値を上げる食生活の鍵となるのが、糖質の摂取量。
「人間の体を作りエネルギー源となる三大栄養素が、糖質、タンパク質、脂質。このうち、タンパク質と脂質は血糖値をそれほど上げることはないので、糖質を制限することが大切になってくる。ただし『いつもの定食からご飯を抜く』といった方法では、エネルギー不足になってしまいます。糖質を減らす場合は、代わりに副菜を1品増やしてタンパク質、脂質を足し、カロリーを補うようにしてください」
具体的には、1食でそれぞれどのくらいの量を摂ったらよいのだろうか。
「自分の手を使い目安にするとわかりやすいですよ。タンパク質は手のひら1枚分、生野菜であれば両手いっぱい以上、加熱した野菜なら片手にいっぱい。ご飯は握りこぶし1個分、ちょっと体重が増えたらその半分くらいに。炭水化物は玄米や全粒粉のほうが白い米や小麦粉よりも、血糖値の上昇が緩やかになるのでおすすめです」
緩やかに血糖値を上げるという意味では、食べ方も大事になってくる。
「ベジファーストが推奨されていますが、タンパク質から食べても血糖値は緩やかに上がるので、野菜でお腹がいっぱいになってしまうならミートファーストで。要は炭水化物を最後にすることです。また、食物繊維が豊富なものを食べておくと次の食事で血糖値が上がりにくくなる、セカンドミール効果ということもいわれています。いずれ、食べる順番やその内容に気を配ることが、カロリーよりも重要です」
まず最初にカットしたいのは、甘い味の素となる糖類。
糖質制限を心がけたいけど、主食をいきなり減らすのはハードルが高い。そんな場合はまず“糖類”の摂り方に注意することから始めてみて。
「糖類とは糖質よりも分子の小さい砂糖や果糖、いわゆる甘いものに多く含まれているものです。糖類制限は甘いものへの依存を見直そう、ということ。砂糖はマイルドドラッグというくらい依存性が高い。左のチェックリストで2つ以上当てはまる場合には、糖類制限をさっそく始めたほうがよいでしょう。黒糖や甜菜糖、蜂蜜もヘルシーなイメージはありますが、血糖値を上昇させるという意味では要注意です」
砂糖が意外と使われている和食の味付けにも、気を付けるようにしたい。
「砂糖と醤油でメリハリをつける調理法より、出汁で旨みを加えて素材本来の味を楽しんで。そして、食材の味をより感じるためにも、ひと口30回ほどよく噛んで食べることです」
よく噛むことで血糖値も上がりにくくなる、という。とにかく、無理はせず習慣化させて続けることが大事。
砂糖依存症チェックリスト
□ 甘いものを食べると幸せを感じる。
□ 甘いものを食べないとイライラする。
□ コーヒーや紅茶には必ず砂糖を入れる。
□ ストレスがあると甘いものに手が伸びる。
□ いつでも飴が食べられるように準備している。
□ 甘いものを食べると疲れが取れて元気になる。
1つでも当てはまるなら、砂糖依存症の恐れあり。
『クロワッサン』1121号より